研究課題/領域番号 |
23530552
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
赤壁 弘康 南山大学, 経営学部, 教授 (40192877)
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研究分担者 |
南川 和充 南山大学, 経営学部, 教授 (10295834)
大北 健一 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (60367513)
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キーワード | 観光消費 / ネットワーク外部効果 / 確率的Verhulst-Gompertz方程式 / 企業の最適化政策 / マーケティング / ファイナンス / デリバティブ評価 |
研究概要 |
観光消費は、多くの客が集まれば報道や口コミによってますます人が集まる、逆に、風評が広がれば閑古鳥が鳴くほどさびれるなど、ネットワーク外部性の影響を強く受ける。我々の研究は、こうしたネットワーク外部性を考慮した観光消費モデルの構築にある。 研究代表者の赤壁の研究内容は以下の通り。不確実性下におけるネットワーク外部性を考慮した観光消費の波及効果モデルを、確率微分方程式の一種である確率的VerhulstーGompertz方程式によって表現した。この方程式の解は、確実性下では、一般化されたロジスティック曲線となる。確率的VerhulstーGompertz方程式の解過程を明示的に導出し、その統計的性質を明らかにすることに成功した。確率的VerhulstーGompertz方程式を用いて観光消費それ自体をはじめ、いくつかの資産・商品の価格をモデル化し、観光業者をはじめとする企業・事業者の最適行動およびデリバティブの評価を分析した。 研究分担者の南川・大北の研究は以下の通り。旅行業界を、旅行会社が提供するパッケージ旅行商品を購入する観光客の市場と、旅行商品に含まれる旅行サービス提供業者(例えば、土産物屋)の市場とで構成される二面市場two-sided marketと想定し、2市場間で双方向に作用する間接的ネットワーク外部性を考慮した価格設定行動モデルを構築した。 これらの研究成果をそれぞれ国際学会、研究会等で報告し、その一部を論文として学術誌で公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ネットワーク外部性を考慮した不確実性下の連続時間観光消費モデルは、確率微分方程式の一種である確率的Verhulst-Gompertz方程式でモデル化することができ、この解過程の確率的・統計的性質についてはすでに詳細に分析できている。 ネットワーク外部性を考慮した不確実性下の連続時間観光消費モデルを用いた事業者の最適戦略についても着手し、その一部については明確な結果を得た。 さらに、間接的ネットワーク外部性の下での独占プラットフォームのケースについては、プラットフォームとしての旅行会社は観光客の送客に対して土産販売業者にプラスの手数料を課す一方で、観光客に対してはマイナス(限界費用以下)の価格を設定して補償することが合理的となる条件を得ることができた。複占のケースについても、モデルとして採用しうる候補の絞り込みは済んでおり、ゲームの均衡分析に至るまでの見通しは立っている。
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今後の研究の推進方策 |
ネットワーク外部性を考慮した観光消費モデルを用いた理論モデルの構築についてはさらに精緻化し、適用範囲を拡大できるように考察を進めていく。 研究成果を国際学会等で報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)が116,403円生じているが、これは、年度末になってシミュレーション用ソフトウェアとして購入したMathematicaのバージョンアップ予告がなされ、年度中の見積もりが間に合わなかったためである。この金額を次年度に持ち越し、当該ソフトウェアを購入することに充てることにした。 今年度は、シミュレーション用ソフトウェアMathematicaのバージョンアップ9.0を購入する。また、このソフトウェアを研究分担者間で利用するため、インストールする新たなPCを購入する。 調査・資料(データ)収集・研究報告のために国際会議・学会・研究会等に出席する予定であり、この目的のための旅費等に使用する。
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