本研究の目的は、地域ブランド構築における戦略的ゾーニングの中でも特に連携型ゾーニングに着目し、現状の地域間連携を分析することでその問題点を洗い出すと共に、成功事例の分析を通して連携型ゾーニングのマネジメント・モデルを構築することである。 初年度は当初の計画通り、日本国内で地域間連携に取り組む地域(京都府宇治市、北海道美瑛町、香川県直島)のデータ収集と分析を行った。その結果、「日本で最も美しい村連合」の取組みに焦点を絞ることとし、2年目以降、この連携型ゾーニングのマネジメント・モデル構築のために調査と分析を行うことになった。 2年目では、国内の追加調査として、「日本で最も美しい村連合」の中でより積極的な活動を行っている長野県の地域(木曽町、大鹿村、伊那市)でインタビュー調査と視察を行った。それと共に、観光庁が提唱する地域間連携である観光圏の実態を探るべく同庁へヒアリングを行い、観光圏をはじめとする地域連携の実態とその限界についての分析を論文にまとめた。この二つの調査から、多くの地域間連携が抱える問題点を「日本で最も美しい村連合」は上手く対処していることがわかった。 最終年度となる本年度は、「日本で最も美しい村連合」の東京事務局長への取材と、この連合組織のルーツとなっている「フランスで最も美しい村連合」に加盟する地域の視察を行った。その結果、「日本で最も美しい村連合」の組織は「フランスで最も美しい村連合」の活動を手本としながらも、独自の動きを展開しており、日本の組織が抱える問題等や国際性、世界的な展開の可能性なども明らかになった。以上の調査の結果からグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いてマネジメント・モデルを構築することができ、今後、そのモデルを報告していく予定である。
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