研究課題
以下では、モデル分析と実証分析という2つのアプローチについて今年度の研究成果を報告する.モデル分析においては、組織内で必要とされるskillを学習する動機に関係する指標は、管理者の学習能力による情報の非対称性によって生じるinformation rentに関係することを明らかにした。この結果は、本研究の研究対象であるプロジェクト評価にも応用可能であり、実証モデルに組み込むべき新たな説明変数の候補を得たことを意味する。実証分析では、これまでに行ってきた特許出願数と企業利益の関係の分析に加え、環境関連情報を非財務指標とした分析を行った。過去の経験により、業種により企業利益と研究開発費・特許出願数の関係が異なると考えられたので、9業種について、二酸化炭素排出量(環境関連情報)が研究開発費・特許出願数とどのように関連しているかを分析した。その結果、8業種において、研究開発費と二酸化炭素排出量が負の相関を持ち、1業種において、特許出願数と二酸化炭素排出量が負の相関を持つことが示された。これは、研究開発活動に多くの投資を行っている企業は、二酸化炭素排出量が少ないことを意味し、研究開発活動が環境改善に一定の役割を果たすことを示唆している。特許出願数については、1業種しか二酸化炭素排出量との関係を見いだすことはできなかったが、今後、分析モデルを改善し、新たな変数を加えることにより、新たな発見が行えるものと期待している。環境問題は今や世界的な関心であり、これを管理会計の立場から分析していくために発展途上国における環境プロジェクトの評価は重要であり、この点からの研究を進めていく手がかりとして、発展途上国の会計システムを調査した。また、今後、企業における研究開発プロジェクトの実施状況を調査していくことが必要と考えられるため、ケースに関する基礎研究も行った。
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研究年報経済学(東北大学)
巻: 未定 ページ: 未定
Proceedings of APMAA 16th Conference
巻: APMAA 16th ページ: 1-11
Social Science Research Network(SSRN)
巻: SSRN-id2425448 ページ: 1-18