研究概要 |
本研究は、まず中小建設業企業のマネジメント・コントロール、業界慣行および産業構造の実態解明を定量的手法によって行い、次にそれらの結果を所与としながら中小建設業企業間の適切な競争環境を構築するための制度について、ゲーム理論およびオークション理論等の成果を援用して理論的に分析するものである。 上記の目的を達成するために、本研究では平成23年度の予備調査に加え、平成24年度において中小建設業企業の産業構造解明を意図したインタビュー調査およびアンケート調査を行った。そこでは地域性、企業規模などを考慮しながら、福島県に本社を置く中小建設業企業52社に対してインタビュー調査およびアンケート調査を行い、それらのマネジメント・コントロール・システム、業界取引慣行などの実態を抽出した。次に平成25年度においてそれらのデータを多変量解析の手法を用いて定量的に分析し、中小建設業の業界構造の特徴を明らかにした。そして当該分析結果から、地方における中小建設業の業界構造は、その他の産業と異なる独特の構造を有しており、それらをかんがみた場合、現在わが国の公共工事発注において実施されている一般競争入札制度が公正、公平な競争に資していない可能性があるだけでなく、公共工事受注に関して一部の企業による寡占的状況を生み出しうることを示した。これら一連の研究実績は、日本管理会計学会設立20周年記念論文集、The Journal of management Accounting, Japan, Supplement 2, 2013において論文として投稿し、掲載されている。
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