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2012 年度 実施状況報告書

中小企業を対象としたビジネス・プロセス管理モデルの構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530572
研究機関新潟大学

研究代表者

李 健泳  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60212685)

研究分担者 長坂 悦敬  甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
キーワードBPM / TD-ABC / 時間管理 / IT Control / Management Control / プロセス管理論 / プロセス構築論 / 国際情報交換
研究概要

平成24年度の研究目標は、ビジネス・プロセスの階層化・体系化に基づいたプロセス管理論の確立と、プロセス構築のためのプロット・タイプのソフトウェアの開発であった。二つの研究目標に対する研究実績は以下のとおりである。
1.プロセスの管理方法論としての「段階的なプロセス管理論」の確立:中小企業では投下資金や人的資源の制約、さらに管理方法論の未熟の環境におかれているため、プロセス管理目的を段階的に達成していくプロセス管理モデルが望ましい。したがって、当研究では自社のレベルに合わせて導入レベルを確定し、その成果を見ながら次のレベルに進むプロセス構築・管理の方法論をモデル化した。
2.プロセスの構築方法論としての「シンプルで容易なITツール」の開発:当研究では、一連の業務プロセスを記述して実行するためのツールとして、PCのみならず「スマートフォン/タブレット」インターフェースを備えたソリューションを開発した。当研究で開発したBPMソフトウェアではプロセスをトップレベルから徐々に展開していく「ドリルダウン」アプローチを採用している。最初から全ての業務プロセスを構築する必要がない方法である。
3.海外共同研究者との共同研究:当研究モデルは韓国企業への適用も想定するものであったため、当研究のフレームワークの妥当性やITツールの適用可能性について韓国の関連学会で発表しながら韓国の共同研究者とともに随時検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究計画は、中小企業のためのプロセス管理モデルの確立とそれを支援するITツールの開発に関する研究であった。このような研究に対して、それぞれ次のような成果を上げ、予定した目標はほぼ達成できた。
1.平成24年度のプロセス管理モデルに関する研究では、プロセス管理を段階的な目標を定めて解決していくモデルを考案した。上位プロセスでのプロセス管理目標から下位プロセスの管理目標までを因果関係により定め、段階的に管理していく管理モデルである。特に、プロセス管理モデルでは、プロセスを制御する管理単位としてイベントという概念を創案し、イベントを管理することによってプロセスの管理目標が管理できるモデルを作り上げた。
2.ITツールの開発に関する研究では、一連の業務プロセスを記述して実行するためのツールとして、“SCRUM”と名づけたソフトウェアを開発した。“SCRUM”では、管理単位であるイベントをITツール上の一つのCELLとして考えて管理単位と構築単位を一体化させ、多数のCELLにより構成される「Process」が容易に構築・管理できるようにした。一般に、ITツールによるプロセス構築では業務の洗い出しやプロセスの流れを定義する等の「現況業務データの構築」作業は避けては通れない。しかし、SCRUMでは業務データの概要定義のみで運用を開始できる斬新なアプローチを採用している。
3.上記の研究成果により管理方法論の確立とそれに基づくITツールの構築が一体化されたが、この成果を2012年12月1日に開催された韓国生産管理学会秋季学術発表大会で二つの論文として報告した。報告した論文テーマは「中小企業のためのBusiness Process Managementのフレームワーク」と「中小企業のためのBusiness Process Management Solution」であった。

今後の研究の推進方策

平成25年度の研究では、平成24年度に得られた研究成果をもとにして、中小企業に適用可能な総合的なプロセス管理モデルの構築に関する研究と、本研究が開発したITツールによる中小企業でのパイロット・テストを研究目標としている。
1.総合的なプロセス管理モデルの構築に関する研究では、平成24年度に開発したプロット・タイプのソフトウェアが整合性を保つようにプロセス管理モデルを補完する研究である。
2.ITツールのパイロット・テストでは、中小企業での実装を試み、BPMソフトウェアとプロセス管理方法論が整合性を持って適用できるのかを確認するものである。しかし、中小企業での実装には中小企業の積極的な協力と時間を要する作業が前提であるため、目標達成が来年度まで延びる可能性もあるが、一定の成果をあげることができると予想している。

次年度の研究費の使用計画

当研究における前年度未使用額が生じた状況と次年度の主な研究費の使用計画は次のとおりである。
1.前年度の未使用額は予定した研究会が中止になり、次年度に延期されたことによって生じたものであり、次年度の研究会に伴う旅費として使う予定である。
2.プロセス管理論の確立に関する研究では、中小企業の現場の状況を取り入れるとともに、成果を発表する機会を設ける必要があるために必要な旅費が発生する。
3.ITツールのパイロット・テストでは、協力が得られる企業の訪問のための出張費、ソフトウェアの開発に必要な物品費と関係者への謝金が発生する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] サプライチェーン・マネジメントにおけるERP活用に関する考察2012

    • 著者名/発表者名
      長坂悦敬,金恩慶
    • 雑誌名

      日本物流学会誌

      巻: 20巻 ページ: 61-68

    • 査読あり
  • [学会発表] 生産企画と融合コストマネジメント2012

    • 著者名/発表者名
      長坂悦敬
    • 学会等名
      日本管理会計学会フォーラム
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2012-07-21
  • [学会発表] 中小企業のためのBusiness Process ManagementのFramework

    • 著者名/発表者名
      李健泳・河本潤
    • 学会等名
      韓国生産管理学会秋季学術発表大会
    • 発表場所
      高麗大学
  • [学会発表] 中小企業のためのBusiness Process Management Solution

    • 著者名/発表者名
      長坂悦敬・松本浩之
    • 学会等名
      韓国生産管理学会秋季学術発表大会
    • 発表場所
      高麗大学
  • [学会発表] Business Process Management:中小企業のための管理方法論と構築方法論

    • 著者名/発表者名
      李健泳
    • 学会等名
      韓国国立Hanbat大学経商学部韓日国際学術セミナー
    • 発表場所
      韓国国立Hanbat大学
  • [図書] Management of Service Business in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Nagasaka and Gunyung Lee(167頁-181頁)
    • 総ページ数
      185
    • 出版者
      World Scientific

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公開日: 2014-07-24  

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