研究課題/領域番号 |
23530578
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中田 範夫 山口大学, 経済学部, 教授 (90146142)
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研究分担者 |
杉 和郎 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (70241271) [辞退]
花田 千鶴美 山口大学, 医学部附属病院, その他 (00380014) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 公立病院 / 業績評価基準 / BSC / 都道府県立病院 / 市町村立病院 |
研究実績の概要 |
「公立病院の業績評価基準に関する研究-収益性と公益性-」というテーマの下に研究を実施してきた。最終年度においては、「BSCに関する6回のアンケート調査-平成16年から25年における郵送調査-」を報告した(医療バランスト・スコアカード研2014)。ここでは、BSCの採用率が平成16年の6.3%に比較して平成25年では15.2%へと上昇しているが、しかし、平成21年以降はほとんど横ばい状態であることを明らかにしている。また、業績評価の厳格化という目的でBSCを導入している病院の割合は少ないこと、BSCをさらに普及させるためにはインセンティブの問題は避けて通れないが、しかし一方で病院経営における「先行き不安感」から積極的な対応が困難な状況であることを指摘している。次に、「公立病院におけるBSC採用に関する現状-合計6回の調査より-」(山口経済学雑誌、平成27年3月)では、公立病院のマネジメント機能が低いという指摘が行われているが、確かに市町村立病院ではその指摘は妥当であるが、しかし、都道府県立病院では妥当していないことを明らかにしている。都道府県立病院では、BSCの採用率という点からは、むしろ日本の病院における先進性が確認されている。 公立病院改革の必要性が指摘され、ここ数年にわたって各公立病院は病院改革プランに従って大きく変革しようとしている。その結果、組織改革と財務改革が進展している。そのような改革の結果、公立病院においても「収益性」がより重視されるようになってきた。厳しい財政状態の中で「収益性」の視点を強調することはたやすいが、しかし、他方で「公益性」という視点が軽視されつつあるのではないかという懸念を感じている。次の論文では、このような観点から調査を実施しているので、これを報告しようと計画している。
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