研究課題/領域番号 |
23530585
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
細海 昌一郎 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (80287953)
|
キーワード | 国際研究者交換 / 英国 / オックスフォード |
研究概要 |
本研究の目的は、組織資本の構成要素とそのマネジメントについて明らかにすることである。本研究に先立つ研究課題において、組織資本は、研究仮説に反して、有意ではないが、企業業績に僅かにマイナスの影響を与えている、あるいはほとんど影響を与えていないという結果になった。すなわち、組織資本の効果は企業業績等に対して直接的にあらわれるのではなく、人的資本と同様に、間接的にあらわれる可能性が高い。 本研究では、このように企業価値との関係が間接的で捉え難い組織資本について、組織IQや独自に考案した指標など別の新たな分析視点からその構成要素についてさらに深く分析を行うことを予定している。また、本研究では、組織資本を管理会計的に捉え、どのようにマネジメントすべきかについても示唆を与えたいと考えている。 平成24年度は、Brynjolfsson and Yang(1999)等の先行研究を参考に、インタンジブル・アセットと企業価値あるいは生産性の関係を明らかにすることを当初予定していた。また、この研究成果を研究発表することも予定していた。しかし、本年度は、平成24年度に予定されている英国での在外研究(詳細は後述)の準備を主に行うことになった。従って、当初予定されていた財務データベースを用いた以上のような分析は、予定を変更して実施しなかった。それに代えて、英国での在外研究を想定した研究の準備を中心に行った。その一環として、2012年11月に中国の厦門大学行われたアジア太平洋管理会計学会(APMAA)に参加して、本研究課題に関わる研究に関連して英国の研究者と情報交換を行った。 また、『会計・監査ジャーナル』のアカデミック・フォーサイトにおいて、本研究課題に関するこれまでの研究のまとめと今後の研究課題について、整理して論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本務校の首都大学東京からサバティカルの研究期間を取得し、2013年4月から2014年3月にかけて、英国オックスフォード大学において在外研究を行うことになったので、平成24年度はその研究準備を中心に行うことになった。 当初の研究計画では、研究期間の前半では、財務データのみを用いてインタンジブル・アセットと企業価値あるいは生産性の関係を明らかにすることを予定していた。しかし、本研究課題を明らかにするには、質問票を用いた調査研究によって、財務データにはあらわれない定性的要因を明らかにすることの重要性がより明らかになってきた。 そこで、在外研究で英国において研究を行う機会を得たことを利用して、国際比較研究を踏まえた質問票調査に重点を置いた研究の準備を行うことに研究計画を変更したため。
|
今後の研究の推進方策 |
前述のように、2013年4月から2014年3月にかけて、英国オックスフォード大学教育学部及び付属研究機関のSKOPEで在外研究を行うことになった。 英国オックスフォード大学のSKOPEという組織は、技能と知識の取得と使用、製品市場戦略、パフォーマンスの間の関連を調査することを目的とする学際的な国際的研究機関である。本研究課題は、会計学的な財務データのみでは解明は困難であり、隣接諸科学の知識を応用する必要性があることをより強く実感している。本年度は、オックスフォード大学SKOPEの客員研究員として、本研究課題の解明に必要な分析アプローチに示唆を得たいと考えている。 つまり、平成25年度は、主に英国における在外研究において、平成25年度から平成26年度にかけて行う予定である質問票調査の具体的な内容について、こうした研究課題にアプローチする国際比較研究を踏まえた研究方法に示唆を得たいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
繰り返しになるが、2013年4月から2014年3月にかけて、英国オックスフォード大学で在外研究を行うことになった関係で、交付申請書に記載した当初の計画を大きく変更して使用する予定である。 具体的には、英国オックスフォード大学に滞在しながら、英国や欧州企業の企業調査を行ったり、国際学会に出張することを予定しているので、外国旅費等を当初よりも大幅に増額して研究を行う予定である。 また、本研究課題に対するアプローチの手法が重要になると思われる。研究データについて統計分析を行い、組織資本の構成要素等について実証的に明らかにすることは当初から予定されていたが、研究データの分析手法についてより具体的に検討するため、分析に必要な費用の計上も一部予定している。
|