研究課題/領域番号 |
23530585
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
細海 昌一郎 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (80287953)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | 人的資本 / 組織資本 / 情報資本 / 顧客資本 / ブランドエクイティ / レピュテーション / 複合的活用 / 構成要素 |
研究実績の概要 |
本年度は、組織資本の構成要素のマネジメントに関連して、組織資本と他のインタンジブルズとの関係を中心に研究を行った。組織資本の構成要素を考える場合、情報資本を組織資本とは別に捉え、さらに、主に企業外部との関係から生じる顧客資本,ブランドエクイティやレピュテーションなどのインタンジブルズとの相互関係について研究を行った。 分析の結果、人的資産は、組織資産、顧客資産、コーポレート・レピュテーションにそれぞれ有意に正の影響を与えることが明らかになった。特に、組織資産に有意に大きな正の影響を与えることが明らかになった。 組織資産は、情報資産、顧客資産にそれぞれ有意に正の影響を与えることが明らかになった。特に、情報資産にかなり大きな正の影響を与えることが明らかになった。しかし、組織資産から企業業績への影響は有意ではなく、標準化係数はほとんどゼロであった。 情報資産は、人的資産、顧客資産にそれぞれ有意にやや大きな正の影響を与えることが明らかになった。情報資産と組織資産に関する分析結果から、情報資産と組織資産とは非常に密接な関係にあるといえる。顧客資産は、ブランド・エクイティとコーポレート・レピュテーションにそれぞれ有意に大きな正の影響を与えることが明らかになった。さらに、顧客資産およびコーポレート・レピュテーションは企業業績に有意にやや大きな正の影響を与えることが明らかになった。 しかしながら、ブランド・エクイティから企業業績への影響は有意ではなく、標準化係数はゼロに近いマイナスの値となった。 この分析結果から、ブランド・エクイティは、少なくとも主観的業績には影響を与えないといえる。ただし、追加分析から、業種の違いによる影響が考えられる。 この研究結果を踏まえて、組織資本の構成要素とマネジメントについて、研究期間を延長して研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成26年度までに質問票調査等を実施し、27年度はその結果をまとめる予定であった。 しかし、日本管理会計学会スタディグループに参加し、他のインタンジブルズとの関係について分析行った関係から、組織資本の構成要素とマネジメントについて、質問票を作り変える必要性を感じたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、組織資本と他のインタンジブルズとの関係がある程度整理できたので、平成28年度は、研究期間を延長して、組織資本を構成する要素を推定し、そのマネジメントにつながる分析結果を得たいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
組織資産の構成要素は,他のインタンジブルズをどう捉え,相互にどう影響し合っているかにも影響を受けるので,本研究テーマである「組織資本の構成要素とそのマネジメント」に関する質問票調査の前に,「インタンジブルズの複合的活用」の視点から研究を行ったたため。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究結果を踏まえて質問票調査を実施して、組織資本を構成する要素を推定し、そのマネジメントにつながる示唆を得たいと考えている。
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