研究課題/領域番号 |
23530589
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
頼 誠 兵庫県立大学, 会計研究科, 教授 (70191674)
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研究分担者 |
淺田 孝幸 立命館大学, 経営学部, 教授 (10143132)
塘 誠 成城大学, 経済学部, 教授 (80320042)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | エンパワメント / ネットワーク型経営 / 無形資産価値 / 分権化 / 人材開発 / 知財/無形資産重視の経営 |
研究概要 |
本研究の目的は、高業績を達成するために適切な「組織デザイン」の特性を検討し、マネジメント・コントロール・システム(MCS)を構築することである。 不確実性・複雑性の高い環境で有効とされる分権化組織でも大規模組織になり、本社の求心力が弱いと部分最適化の問題が起こる。HD制の下では、HDによる子会社のコントロール問題、子会社間の壁の存在、企業集団間の壁の存在、相互作用の仕組みの不十分さ、子会社への過度の権限委譲とHDの統治メカニズムの不備が問題を引き起こしていると思われる。我々は、HD制の意味とMCSについて確認した。特に、部分最適化の問題とそれを緩和する条件について概観し研究課題を提示した。 HD(ないし本社)の重要な役割は、長期的全社的観点から事業を改廃したり、深刻な状況に陥る前に介入すること、事業ポートフォリオをより望ましい事業構成に組み替えることではないか。特に多角化戦略をとりグローバル化していく企業は、HDが戦略の策定、財務管理(資金の集中管理と業績評価)、人事機能(人材の選抜・配置・評価)をバランスよく行うことを意図してHD制をとっている可能性がある。 管理会計サイドからのHD制の研究、MCSの研究はまだ不十分である。23年度はこの問題の所在を確認し、仮説をたて、その解決法を中心に検討した。その研究対象として、必ずしもHD制をとっている企業でなくても、大企業のほとんどは、子会社・関連会社を擁し、企業集団を構成している点でHDと同じという認識のもと、若干の大企業の訪問・調査や資料収集を行った。さらに、これまでの調査企業のデータと文献を基礎に、論文3本を上梓できた。また、淺田教授と塘教授が2つの海外の学会で、頼が国内の学会で研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)オリンパスのような事件があったせいかガードが固く、企業のヒアリング調査の申し込みに対して許可がとれず、思うようにヒアリング調査が進まなかった。だが、当初予定としては、23年度は文献研究中心で24年度からヒアリング調査を進める予定であったことと、学会発表も3回行い、論文も3本出していることから、(2)おおむね順調に進展している、と評価してもよいのではないだろうか。
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今後の研究の推進方策 |
The 7th APMAA Conferenceの報告では、日本以外の参加者が多く、報告タイトルの純粋持株会社については、他のアジア諸国では一般的でないため、その意義についての質問があった。今後、この点について国際的な位置づけをきちんと押さえて研究を進める必要のあることが確認された。また、ヒアリングと併行してアンケート調査と統計的な検証を実施することにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、文献研究を継続するのと併行して、ヒアリング調査、アンケート調査を行う。現在作成中の質問票がある程度できた時点で、企業側の多忙な時期を避け、5月の連休以降に許可がとれた企業でヒアリングを兼ねて質問してより完成度の高いものにしたい。研究費の使用に関しては、文献収集を継続すると共に、我々3人による企業訪問の旅費、打ち合わせ・研究報告のための旅費、アルバイト学生を雇用してヒアリングさせたり、質問票の発送、データ処理の費用として使用することになるであろう。 なお、計算書の数値は、3月31日現在の支出分についての記載であり、物品の納品済み分に関して4月以降の支出分(67054円)については計上されていない。また分担者(塘)の未使用の研究費補助金分については、すでに繰越手続きを行っている。
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