研究課題/領域番号 |
23530591
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
熊谷 敏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20366842)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境パフォーマンス評価 / JEPIX / 非公開排出量ペナルティ法 / エコファクタ |
研究概要 |
本研究は、企業間比較を可能にする環境パフォーマンス評価法を開発する。環境パフォーマンス評価手法は、主として、1つの企業の環境パフォーマンスの推移や、特定の製品の環境性能を同じ会社の従来製品と比較する範囲に留まっており、企業間の比較が困難である。これは、企業や製品によって、評価の観点が異なったり、情報開示のレベルが異なったりすることに因る。本研究では、これらの問題を解決し、環境パフォーマンスの企業間比較を可能にする方法を明らかにする。比較可能な環境パフォーマンス評価法を提供することで、企業と外部ステークホルダとの間の情報の非対称性が軽減し、企業間の競争を促進し、環境負荷低減を実現できる。 本研究では、企業間比較の方法として、JEPIX (Environmental Policy Priorities Index for Japan:環境政策優先度指数)を用いる。JEPIXは統合化手法と呼ばれ、複数の環境負荷物質の排出量データを、単一の環境負荷量に変換する。JEPIXは、企業の環境負荷排出量を出口側で評価する、客観的な評価方法と考えられるためである。 JEPIXは環境負荷物質排出の政策目標と現状排出量の乖離度を重み付けするため、現在の政策目標に基づく数値を利用する必要がある。JEPIX2003が開発されてから8年になるが、この間、環境政策で着目する環境側面(カテゴリ)が変化し、様々な環境対策により現状排出量が変化した。また、エコファクタ算定に必要なインベントリデータが新たに利用可能になり、関連する法規制もいくつか改訂された。本年度は、2010年版のJEPIXの改訂を行い、JEPIX2010 エコファクタを算定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、主に、環境負荷物質の排出量をベースにした手法であるJEPIX2010の開発を行った。また、製品について企業間比較を可能にする評価法を開発した。しかし、企業によって、排出量の開示範囲集計範囲について、推測値を用いて統合し比較する方法については、予備検討の範囲にとどまっている。これは、研究協力者および産業界の協力メンバとの議論のなかでJEPIX2010を早期に試用したいとの要望があり、JEPIX2010の研究優先度を上げたためである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、当初、海外での成果発表を予定していたが、研究計画の変更により、適切な国際会議との日程があわなくなり、旅費の使用を次年度に持ち越すこととした。次年度は、JEPIX2010については、エコファクタの適用を容易にする計算プログラムを開発し、適用と評価の効率化を図る。これにより、基本となる排出量評価の尺度が確立するので、排出量推測値による統合評価について研究の重点を移す。
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次年度の研究費の使用計画 |
JEPIX 2010および排出量推測値を用いる環境評価法について、国際会議での成果発表をそれぞれ1件予定しており、その旅費に充当する。また、評価データの収集作業のための謝金に充当する。本年度は実施できなかった海外での研究成果発表を次年度に行うため、本年度の研究費の一部を使用する。
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