研究課題/領域番号 |
23530591
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
熊谷 敏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20366842)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、企業間比較を可能にする環境パフォーマンス評価法を開発する。環境パフォーマンス評価手法は、主として、1つの企業の環境パフォーマンスの推移や、特定の製品の環境性能を同じ会社の従来製品と比較する範囲に留まっており、企業間の比較が困難である。これは、企業や製品によって、評価の観点が異なったり、情報開示のレベルが異なったりすることに因る。本研究では、これらの問題を解決し、環境パフォーマンスの企業間比較を可能にする方法を明らかにする。比較可能な環境パフォーマンス評価法を提供することで、企業と外部ステークホルダとの間の情報の非対称性が軽減し、企業間の競争を促進し、環境負荷低減を実現できる。 本研究では、企業間比較の方法として、JEPIX (Environmental Policy Priorities Index for Japan:環境政策優先度指数)を用いる。JEPIXは統合化手法と呼ばれ、複数の環境負荷物質の排出量データを、単一の環境負荷量に変換する。JEPIXは、企業の環境負荷排出量を出口側で評価する、客観的な評価方法と考えられるためである。 JEPIXは環境負荷物質排出の政策目標と現状排出量の乖離度を重み付けするため、現在の政策目標に基づく数値を利用する必要がある。環境政策で着目する環境側面(カテゴリ)の変化や、様々な環境対策により現状排出量が変化に対応して、昨年度よりJEPIX2010を改訂しているが、本年度は算定結果について産業界の実務家や環境研究の専門家と妥当性のレビューを行い、エコファクタによるパフォーマンス評価を行う計算プログラムを開発した。また、JEPIX2003との比較評価を行なった。これらの研究成果は、研究成果を国際学会(1件)、国内学会(1件)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JEPIXの算定方法と算定結果については、産学の専門家より妥当であるとの評価を頂いている。また、JEPIX2010を環境パフォーマンス評価に利用する環境は整いつつある。しかし、実務レベルでの利用のためには、ポスト京都議定書やVOC規制への対応方法について検討する必要がある。 また、非開示情報を推定し比較する企業間で開示レベルをそろえて比較するた方式については、基本的な推定方法やその妥当性については、本年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は3年間の研究年度の最終年度として研究のまとめを行う。これまでに、算定したJEPIX2010と作成した簡易計算ツールと、非公開排出量ペナルティ計算のプログラムを統合し、企業の環境パフォーマンスの総合的評価ならびにパフォーマンス比較における課題のまとめを行う。対象は精密機器業界と自動車業界をを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
環境負荷データを収集・整理して、環境パフォーマンス計算を行うための謝金(アルバイト)を使用する予定である。 また、研究成果を2013年7月にブラジルで開催される, 22th International Conference Production Researchで発表予定であり、その参加費、旅費、およびThe International Foundation for Production Research (IFPR)への論文投稿料として使用する。
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