研究課題/領域番号 |
23530597
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
濱本 明 日本大学, 商学部, 准教授 (00366551)
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キーワード | 継続企業の前提 / ゴーイング・コンサーン / 倒産 / 債務超過 / 支払不能 |
研究概要 |
ゴーイング・コンサーン情報とは、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在する場合における、財務諸表への注記開示、そして監査人による継続企業の前提に重要な疑義が認められる事項が財務諸表等に適切に記載されているか否かについて検討 及び当該重要な疑義に関する事項について監査報告書等への追記情報である。ここで、継続企業の前提が成立していないことが一定の事実により明らかな場合には,継続企業を前提として財務諸表を作成することは不適切であると判断しなければならない。この「一定の事実」とは、破産手続など清算型法的倒産処理手続の申立て等が該当するとされており、再生型法的倒産処理手続の申立てについては、制度上は継続企業前提の不成立とは考えられていない。しかし、清算型であっても再生型であっても法的倒産処理手続の申立ては、利害関係者に与える被害は甚大となる可能性が大きく、この点において財務情報の利用者と開示制度の期待ギャップが存在すると考えられる。 また、ゴーイング・コンサーンの前提に重要な疑義を抱かせる状況として、例えば支払不能が挙げられる。この支払不能の判定について、実務上負の流動比率判定することがよていされている。しかし、流動比率が負の状態であっても、支払能力を有し事業を継続することが不可能とは限らない。すなわち、事業活動の前提である支払能力は資金が足りているか否かによるものであり、単純に資産と負債の大小関係で判定することに問題がある。 そこで、ゴーイング・コンサーン情報の開示、法的倒産処理手続の開始原因について、諸外国の制度と比較しつつ、その関係を明らかにし、ゴーイング・コンサーン情報の企業倒産に関する情報としての有用性について明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゴーイング・コンサーン情報に関する監査判断の観点から、監査実務指針の改正における問題点が明らかになった。 例えば、ゴーイング・コンサーン情報開示の基準として、新たに負の流動比率という指標が規定されたが、資産および負債を正常営業循環基準により流動・固定分類する下では、負の流動比率が短期的支払能力の欠如を示すとは限らない。 そのため、この指標により形式的に判定すると、利害関係者に誤った情報を提供する可能性がある。そこで、当該指標を用いる際の注意点や実質判断の方法等を明らかにする必要があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
企業倒産は、企業倒産の原因となる事象が存在し、これを原因として法的倒産処理手続が申し立てられることによって生ずる。企業倒産の原因となる事象については、ファイナンス理論等に関する研究の蓄積があり、法的倒産処理手続開始原因には倒産法に関する研究及び判例の蓄積がある。 本研究では、これらの研究成果等を援用しつつ、会計理論の見地から利害関係者への情報提供のあり方を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記研究の方針に基づいて、文献研究や学会参加等により情報収集を行うために研究費を使用することを計画している。 今年度は、文献等の資料収集を優先したために繰越金が生じたが、次年度は資料収集のための出張も併せて行う計画である。
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