研究課題/領域番号 |
23530600
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
諸藤 裕美 立教大学, 経済学部, 教授 (20335574)
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キーワード | 自律的組織 / 自律的行動 / エンパワメント / 原価企画 / トヨタ / グローバル化 |
研究概要 |
自律的組織のための管理会計に関する著書をまとめ、その中で、主たる分析を行う管理会計手法として原価企画を用いた。著書ではまず、自律的組織のための管理会計の要件を管理会計学、経営学、心理学の領域の既存研究から抽出した。次に、原価企画の既存研究において、それら要件に関する議論がどこまで行われてきたのか、本書後半の事例研究も含め今後の研究で明らかにすべき点は何かを文献サーベイをもとに明らかにした。そして、創業前後の時代から近年に至るまでのトヨタの原価企画の事例を用いて、どのような経緯で、自律的組織のための管理会計の要件が原価企画に導入され、そのシステムを進化させていったかの分析を行った。研究方法としては、文献(社内報など非公刊物含む)調査とヒアリング調査を用いた。グローバル化の進展やその他の環境制約によるさらなるコスト低減の必要性の高まりなどを契機として、多くの要件が導入されたこと、それにより効果が得られていること(ただし、自律的組織のための管理会計の要件の導入による効果の全てを本研究で明らかにできたわけではない)、一方で、一部の要件はいまだ満たされず、それによる問題点が認識されていることが明らかとなった。本著書では、企業を取り巻く環境の変化に対応する組織は、自律的組織のための要件を満たすのみでなく、官僚制組織の特徴も併せ持つべきであることを指摘しており、またそのための組織や管理会計の在り方についても検討を行っている。 著書執筆後は、その内容をもとに、組織間関係への考察対象の拡張、国の文化・制度・業務遂行方法の違いの分析枠組みへの導入など、幾つかの方向の研究の拡張を意図して研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自律的組織のための管理会計の要件を既存研究により抽出し、それらと自律的行動、成果との関係について、原価企画を管理会計手法の一つとして選択し分析を行った。企業活動のグローバル化の進展に鑑み、その研究結果を踏まえた上で、国の文化、制度、業務遂行方法の違いという要因を組み込んだ枠組みをもとに、原価企画その他管理会計システムのあるべき姿を追求し、また実際の企業における管理会計システムの進化のあり方の解明をすべく、文献研究とヒアリング調査の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
企業活動のグローバル化の進展により、原価企画に必要な活動の一部が海外で行われるようになったが、それら海外拠点は、日本国内本社との一定の調整を行いつつ、自律的組織として機能することとなる。親会社のみならず、子会社その他別会社も考察の対象に含め、それら海外拠点が自律的組織として円滑に機能するためには、原価企画においていかなる要件が必要なのか、海外拠点の立地している国の文化、制度、(過去の経緯に基づく)業務遂行方法の違いは自律的組織のための管理会計の要件とその効果との関係にいかに影響を与えるのかについて、文献研究と実証研究をもとに明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
企業活動の一部を移転している海外拠点における自律的組織のための管理会計はいかなるものかを考察し明らかにするにあたり、実証的研究に先立ち、活動移転先の国の文化、制度、過去の歴史的経緯に基づく業務遂行方法の違いを扱った研究や、国の文化と管理会計・マネジメント・コントロール・システムとの関係を扱った研究をサーベイする必要があると考えた。また、申請者は2014年度に米国での在外研究を行うことが予定されていたため、米国拠点へのヒアリングはその際行うことが効率的であると考えた。それゆえ、2013年度の海外出張旅費が予定よりも少額となった。 文献調査による支出に加え、本研究課題の根幹にかかわる研究を行っている米国の研究者からの情報収集、米国に拠点を有する企業へのヒアリング調査と日本企業の国内本社へのヒアリング調査、可能であれば、海外拠点の管理職経験者へのヒアリング調査を行う予定であることから、出張関連の支出が必要となる。
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