本研究では、自律的行動を動機づけるための管理会計の要件は何かを理論的に検討し、それら要件はいかに企業に導入され、管理会計システムを進化させてきたのかをトヨタの原価企画の事例により明らかにした。自律的行動とは、市場志向やより深い経営理念を共有しながら、各組織単位とその構成員が自律的に情報収集・判断・行動し、必要に応じて他の組織単位やその構成員と情報的相互作用を行い、組織全体として環境の変化に敏感に適応することをいう。また、本研究では、グローバル化が原価企画にもたらす問題点への対処のあり方、自律的行動とその先行要因との関係への国民文化等の要因の影響に関しても理論的・実証的に検討した。
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