研究課題/領域番号 |
23530602
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
橋口 徹 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (20337439)
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キーワード | 管理会計 / 予算管理 / リスク・マネジメント |
研究概要 |
我が国の医療現場において、病院の予算管理上、医療安全対策にどれだけの経済的資源が投入されているのか、国内外の学会を問わず、予防対策として事前に投入される医療安全管理活動にかかるコスト(予防的投入コスト)を把握することの重要性については衆目が一致するものの、データの入手の困難性からか、とりわけ国全体から個別の医療機関に至るまで、医療安全管理活動への経済的資源の投入の規模・割合の詳細については、いまだほとんど明らかにされていないといってよいであろう。 平成25年度においては、患者の個人情報保護や病院の経営上の機密の観点から、病院現場の協力によるデータ収集に関して、通常の研究と比較してかなり時間と労力を費やすため、引き続き関連データ収集に努めるとともに、平成23、24年度においてもすでに一部、取り組みを始めていたことであるが、医療安全管理活動にかかるコスト全体を考えていく場合、事前投入される予防的コストだけでなく、さらに、医療事故等の発生を境界として、医療訴訟・裁判などの法的コストが発生する側面を含め、事後的にコストが発生する側面についても考慮する必要があり、当該関連分野についても文献の収集等に併せて努めた。 以上の研究活動に基づいて、平成25年度は、具体的な研究成果として、DPC環境下における循環器領域での医療材料コストを捉える事例研究を行い、当初の研究実施計画に沿って、その結果を国際研究学会(開催地:イギリス・エジンバラ)で発表を行った。さらにはその他関連テーマでの論文を執筆、共著書として出版するなどの研究活動を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、平成23、24年度に引き続き、先行研究の内容の再検討を行うとともに、これまで自らが進めてきた研究内容の整理を行い、研究活動において収集してきたデータだけでは大規模サンプル数としてはまだまだ足りないことから、実際の医療機関における関連データの収集に努めた。 また、事例研究として、DPC環境下における循環器領域での医療材料越コストにかかる研究を行い、当初の研究実施計画に沿う形で、予定していた医療安全にかかる国際学会(開催地:イギリス・エジンバラ)での共同研究発表も行った。さらに、関連テーマについて研究論文を執筆し、共著書として出版するなどの執筆活動を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる平成26年度は、平成25年度に引き続き、関連データの収集に努めるとともに、研究のまとめとしての論文執筆を進める予定である。特に、医療の一部を介護が担っている側面があることから、地域包括ケアシステムにかかる医療と介護との連携の側面にも着目しつつ全体の研究を進めていく。 また、医療安全にかかる国際学会での共同研究発表なども積極的に行っていく予定である。 今年度はブラジル・リオデジャネイロで開催される The International Society for Quality in Health Care(31th International Conference)での発表を行う予定である。すでに学会本部からアクセプトとの連絡をいただいている。10月のリオデジャネイロでの発表に向けて、しっかりとした準備を進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた医療施設での情報収集(訪問)調査において、双方の日程調整がつかずに取り止めとなったことから旅費等に未使用額が生じた。 平成26年度には複数の国際学会等において成果発表を行う予定である。当初の計画では単独での学会発表を予定していたが、データ収集の関係で研究協力者の同行が必要となる。このため、国際学会参加にかかわる旅費等に前年度の未使用額と併せて使用する予定である。
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