研究課題/領域番号 |
23530603
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研究機関 | 京都学園大学 |
研究代表者 |
李 建 京都学園大学, 経営学部, 教授 (10298680)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 予算管理 / 成果主義 / 日韓比較 / 予算スラック / ナショナルカルチャー |
研究概要 |
成果主義ならびに予算管理システムに関する広範な文献レビューを行うとともに、日本企業へのヒアリング調査により、日本的予算管理の特徴について知識を深めることができた。既存文献においても指摘されてきたように、日本企業では、予算目標の達成が必ずしも報酬と強く結びついているわけではなく、予算管理と報酬制度との間にある程度の独立性が認められる。こうした調査結果は、欧米的な成果主義が日本企業には十分浸透していないか、もしくは業績と報酬とのリンクを弱めた日本的な成果主義として変容している可能性を示唆するものである。 一連のヒアリング調査の結果からも、予算業績と報酬とのリンクの度合いにバラツキが見受けられ、欧米型の成果主義に近い企業から非成果主義に近い企業までさまざまなバリエーションが存在する可能性がうかがえた。そこで、予算スラックの概念を切り口に、日本企業の予算管理の特徴を説明するための研究フレームワークを構築した。このフレームワークの妥当性を検証していくことが今後の課題となっているが、その際、韓国企業における成果主義の導入プロセスを分析することによって有意義なインプリケーションを導きたいと考えている。 アジア通貨危機以降、韓国企業では、経済の構造改革の一環として、成果主義制度が急速に普及しており、それまでの年功的な制度は大幅な後退を余儀なくされた。欧米型の成果主義がどのように韓国の文化要因と融合し、共存できるようになったかを探ることで、日本企業における、成果主義と予算管理のあり方を模索していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、広範な文献レビューとともに日本企業を対象としたヒアリング調査を重ねてきており、研究活動は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
日韓比較研究を行うためのベースとして、これまで日本企業を対象に行われた調査活動を今後は韓国企業にも適用していく。韓国企業における、アジア通貨危機後の急速な成果主義の浸透過程を詳細に分析し、成果主義がどのようにして文化的な要因と融合できたのかを明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に引き続き、日本企業へのヒアリング調査を続けるとともに、韓国での資料収集と調査の必要性から、研究費の多くを旅費と謝金に充てることにしている。
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