研究課題/領域番号 |
23530603
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
李 建 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (10298680)
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研究分担者 |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
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キーワード | 予算管理 / 成果主義 / 日韓比較 / 予算スラック / ナショナル・カルチャー |
研究概要 |
研究課題と関連し、広範な文献レビューと国際比較研究の観点からの分析を進めてきた。これまで、予算業績と報酬とを明確にリンクさせないことによって顕在化しなかったいろいろな問題点が、両者をリンクさせることによって表面化してきたことや、早期に成果主義を導入した企業の中には、成果主義のメリットよりもデメリットのほうが目立つようになり、成果主義自体を見直す動きが見られることも明らかとなった。これらを踏まえ、引き続き日本企業には成果主義という考え方ならびにその仕組みが果たして馴染むのか否かを検証する必要がある。 仮に、日本企業において、成果主義が馴染まないのであれば、その代替案としてどのような仕組みが考えられるのだろうか。あるいは、成果主義の環境下でもうまく機能する日本的予算管理システムを設計することは可能であろうか。本研究は、これらのリサーチクエスチョンに答えることによって、予算管理における日本的特徴を抽出し、これまで日本的管理会計として注目されてきた、原価企画や組織間管理会計と並んで、日本的予算管理を新たな研究領域として確立する狙いがある。 外圧により否応なしに成果主義を受け入れざるを得なかった韓国企業とは違って、日本企業は自らの必要性によって成果主義の導入に踏み切っている。そのため、成果主義の導入によって予算管理システムはどのように変容するのか、あるいは変容させるべきかについてあまり明確な答えを見出していないのが現状である。本研究により、そのような問いに対して一つの明確な答えが提示できるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広範な文献レビューと国際比較研究の観点からの分析を重ねてきており、研究活動は概ね順調に進んでいる。成果主義環境下において、予算管理システムはどうあるべきかといった観点から、成果主義と日本的予算管理システムの関連を探るという当初の研究目的は概ね達成されたといってよい。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、成果主義の下での予算管理実務の記述、成果主義の下での予算管理に関する日韓比較研究、成果主義の下での有効な予算管理システムの解明などに努める。 予算管理システムは企業経営において中核的な役割を担っているため、その成否は企業の存続をも左右することになる。急速な成果主義の浸透を背景に、確信的な答えを見出せないでいる企業経営者に、本研究成果が明確な指針を提供できることを期待している。同時に、アカデミックな研究においても、日本的予算管理という新たな研究分野を開拓するという意味において、大いに貢献が期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、日本企業へのヒアリング調査を続けるとともに、韓国においても関連資料の収集と調査を行う必要があるため、研究費の多くを旅費に充てることにしている。
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