研究課題/領域番号 |
23530611
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
長坂 悦敬 甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 原価管理 / シミュレーション / メゾスコピック・モデル / コスト・マネジメント / フィードフォワード・コントロール |
研究概要 |
原価管理に関する理論・手法等に関するシミュレーションモデルを開発し,企業人・実務家と研究者が一体となってレベルアップできるプラットホームを構築するための研究を開始した。 まず,これから必要とされるコスト・マネジメントのフレームワークの一つとして「融合コスト・マネジメント」を提唱。「マーケティング戦略と融合したコスト・マネジメント」,「危機管理・リスクマネジメントと融合したコスト・マネジメント」,「BPM(プロセス・マネジメント)とコスト・マネジメントの融合」,「ダイバーシティ・マネジメントとコスト・マネジメントの融合」の各フレームワークについて検討・整理した。 さらに,BPMとコスト・マネジメントの融合について,品質工学で発展している工程シミュレーションをBPMで有効に活用し,生産コストのフィードフォワード・コントロールを実現するモデルについて研究した。すなわち,フィードフォワード・コントロールとダブルループが実現可能な,(1)プロセス・モデルの構築とプロセスの実装を行う,(2)シミュレーションによるフィードフォワード・コントロールを行う,(3)プロセス実行,KPIの実測を行う,(4)KPIの分析を行う,(5)改善アプローチを行うというBPMの手順を提案した。この量産適用前のフィードフォワード・コントロールは量産適用後のフィードバックと合わせて効果を発揮する。管理会計の技法と現場管理の品質工学技法が一体化されることで,従来では事前にわからなかった不具合を損失として定量的に推定できることがわかった。これにより,従来よりも迅速かつ精緻なコスト改善・最適化が可能になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コスト・マネジメントのフレームワークのひとつとして「融合コスト・マネジメント」を新しく提唱した。また、具体的に、工程シミュレーションを活用し,生産コストのフィードフォワード・コントロールを実現するモデルについて研究し、産学連携で方法論とツールを完成し、実務へ適用できた。これらの成果は、中央経済社のジャーナル「経理情報」に掲載する他、日本原価計算研究学会の全国大会で発表、さらには査読付き論文として「韓国会計研究学会論文誌(Korean Accounting JournalVol.20, No.4 (Sep. 2011)、pp.259-286)」に掲載され、日本原価計算研究学会論文誌2012年にも掲載されることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
「融合コストマネジメント」における原価管理シミュレーションモデルの開発を進める。とくにBPMでのプロセスシミュレーション、SCMにおける危機管理と品質原価シミュレーションについて具体的な方法論とツールの開発を行う。伝統的原価計算手法についてもメゾスコピックモデルを開発し、Webでの公開を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
モデル開発にともなうハードウェア、ソフトウェア、消耗品の購入を行う。企業へのヒアリング、研究会への出席、学会での報告のための出張を行う。モデルデータの入力、調査データの入力、Webページ作成の補助作業アルバイトをお願いする。
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