研究課題/領域番号 |
23530611
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
長坂 悦敬 甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | 原価管理 / シミュレーション / コストマネジメント / フィードフォワードコントロール / BPM |
研究実績の概要 |
原価管理に関するシミュレーションモデルを開発し,企業人・実務家と研究者が一体となってレベルアップできるプラットホームを構築する研究を継続した。とくに、①現在企業サイドでニーズのあるプレコンペティティブな階層でのメゾスコピック・モデル(中間モデル)を構築、②企業とも共同でそのメゾスコピック・モデルをITソリューションに実装し、③実務への試行導入(アクション研究)も開始した。ここでは、実務でフィードフォワード・コントロール、ビジネス・プロセス・マネジメントを役立たせることに注力し、同時に、多視点からコストを検討できるマルチスケール・コストモデルの研究を行っている。結果的に、企業とも共同でクラウドコンピューティングを用いたクラウド・ITソリューションに実装しつつある。同時に、アクション研究を実施して、メゾスコピック・モデルを洗練化し、今後、下記の中間モデルについて学会、実務界からの批判、評価を受けつつも進化できるベースとなりうるものを構築したい。 (1)フィードフォワード・コントロールに適合するグランド・コストモデル (2) ED-BPM(イベントドリブン・ビジネス・プロセス・マネジメント)モデル
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ED-BPMモデルは、加工現場で3ヶ月の試行的に導入され、2014年7月より本格的なアクション研究に入った。他に、人事業務で試行も検討している。また、フィードフォワード・コントロール、マルチスケール・コストモデルについては他の製造企業での試行を検討中である。同時に、鳥取県産業人材雇用創造プロジェクトの中で、鳥取県の中小・中堅企業数社とのアクション研究を進めている。アクション研究では、多能工の作業が初めて可視化され、製品ごとの加工進捗度が管理者、経営者にリアルタイムでわかるようになってきた。これより、月次決算の見込みが判断できるようになり、受注交渉時の見積原価計算、価格政策のレベルをあげることができる可能性がある。また、顧客にも加工進捗度を共有することで、納期への信頼を確保し、在庫低減をはかることを狙えるというイメージが経営者に認識されるに至っている。クラウド・ITソリューションに管理会計モデルを実装し、産学共同のアクション研究により、当初の狙いを超えた効果も発見でき、計画通り、実務へ適用可能な中間モデルを構築できる可能性が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)フィードフォワード・コントロールに適合するグランド・コストモデル 工場において事前にどのような改善がどのコストダウンに効いて、財務的な効果はどの程度見込めるのか、多品種の工程別の連続生産品に対して伝統的な原価計算方法を適用しつつ財務効果を予測する、また、時間軸を入れたマテリアルフロータイムコストを予測する等、複数の視点からフィードフォワード・コントロールを可能にする。 (2) ED-BPM(イベントドリブン・ビジネス・プロセス・マネジメント)モデル 業務、プロセスがどのように流れるか、事前に仮想データを用いて検討したり、実際の業務を計測し、実行結果について可視化し分析することができる、フィードフォワード・コントロールおよびフィードバック・コントロールが実現できる中間モデルを開発し、実装する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった決定木分析、統計ソフトウェアのバージョンアップが次年度に行われることになり、来年度購入する方が研究実施にとって有効であると判断したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
アクション研究でのコストデータ分析のために決定木分析、統計ソフトウェアを購入する。
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