管理会計に関する理論や手法等を迅速に実証し、企業人・実務家と研究者が一体となってレベルアップできるプラットフォームが必要である。そこで、本研究では、各種メゾスコピック・モデルを構築した上で、それらを実装したシミュレーション・モジュールを開発し、実務でも適用可能な管理会計ソリューションとして、インターネットを通じて広く開示することを実現した。 まず、中小製造企業において活用できる製品原価計算モデルMicrosoft Excelに実装し、公開した。具体的には、(1)各期の完成品数量と消費した材料費、労務費、製造間接費については別途把握されていて、それらのデータを利用して製品への直課ならびに配賦を行い製品原価が計算でき、(2)標準原価と見積原価、実際原価の比較が可能になっている。 また、工場において事前にどのような改善がどのコストダウンに効いて、財務的な効果はどの程度見込めるのか、多品種の工程別の連続生産品に対して伝統的な原価計算方法を適用しつつ財務効果を予測、同時に、時間軸を入れたマテリアルフロータイムコストを予測する等、複数の視点からフィードフォワード・コントロールを可能にするため、工場内工程・搬送シミュレータにコストモデルを実装した。 さらに、業務、プロセスがどのように流れるか、事前に仮想データを用いて検討したり、実際の業務を計測し、実行結果について可視化し分析することができる中間モデルを開発し、プロトタイプを公開した。
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