研究課題/領域番号 |
23530612
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
松木 智子 帝塚山大学, 経営学部, 教授 (10347180)
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研究分担者 |
三矢 裕 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00296419)
窪田 祐一 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (40329595)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | SECIモデル / イノベーション / 知財 / 研究 / 人的資本 / マネジメント・コントロール / 理念 |
研究概要 |
本研究は3年間の研究を通して、インタンジブルズのマネジメント・コントロール(MC)について、「優れたMC実務のメカニズムを明らかにすること」および「汎用性の高い効率的・効果的なMCツールを開発すること」を目的としている。平成23年度(2011年度)の研究計画では、(1)文献レビュー、(2)知財報告書に関する情報収集、(3)海外研究者の招聘、(4)予備的ケース・スタディの実施を予定していた。 今年度は、(1)については各自で文献レビューを進めた上で、2011年3/11と7/16にインタンジブルズの研究枠組みとしての野中らが提唱するSECIモデルの適用可能性を検討した。(2)については各自で情報収集を実施している。(3)の海外研究者の招聘については、今年度の研究の実施状況が計画からやや遅れているため実現しなかったが、次年度での実施の可能性を模索している。(4)の予備的調査については、エーザイ、YKK,およびパナソニックの3社にたいする調査を行った。以下にその詳細を述べる。 3社への予備的調査の中でもエーザイとYKKへの調査では、"理念"に基づく人的資本の構築に関する聞き取り調査を実施した。しかし、理念と人的資本の関係性を示すためには、まずは測定ツールや理論モデルの開発が必要であることが明らかになった。また、パナソニックへの調査では、研究部門と知財部門にたいして聞き取り調査を実施した。その結果、研究部門と知財部門ではマネジメント・コントロールという観点からはそれぞれ異なる方法が用いられており、相互に直接的な関連性はみられなかった。これら大企業3社とも、無形の資産を保持していると考えられるが、必ずしも意識的に無形の資産(インタンジブルズ)のマネジメント・コントロールを行っているわけではないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
企業への予備的調査を行うにあたっては、まず無形の資産(インタンジブルズ)を幅広いトピックとしてとらえて企業の選択を行った。その結果、聞き取り調査から得られた内容が多様であったため、内容のとりまとめに時間がかかり、さらに研究を進める上において具体的な研究の方向性を絞るまでに時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に予備的調査を実施した企業では、必ずしも意識的に無形の資産(インタンジブルズ)のマネジメント・コントロールを行っているわけではなかった。そのため今後は、より意識的に無形の資産のマネジメント・コントロールを行っていると思われる企業に焦点を当てることが望ましいと思われる。そこで研究2年目では、無形の資産は持っていても財務的資源に乏しい中小企業に焦点を当て、その中でも知的資産経営報告書を作成している企業で行われているマネジメント・コントロールを探ることに研究の方向性を定めることにした。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の第2年目は、意識的に無形の資産(インタンジブルズ)をマネジメントしようとしている中小企業のなかでも、知的資産経営報告書を作成している企業に集中的に聞き取り調査を行い、引き続き予備的調査を継続する。そしてその調査の中から調査に協力的な企業を選出し、よりインテンシブな調査を行う。そのため、2年目の研究では旅費の支出が多くなる予定である。
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