本研究は、これまで人々の定住を常態と考えてきた社会科学の枠組みを移動から捉え返し、社会学からグローバリゼーション研究にいかなる貢献が可能であるか示したものである。グローバリゼーションは、現代世界の諸領域で起こっている諸変化を捉えるキーワードであり、グローバリゼーションを研究するということは、社会科学におけるこれまでのナショナルな領域を前提としてきた分析枠組みとナショナルな歴史認識の再検討を必要とする。移動と場所の関係を相対化し、他の研究領域との接点を広げて、グローバリゼーション研究のひとつとして、現代における人の移動を捉える方法と観点を提示した。
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