研究課題/領域番号 |
23530624
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
篠木 幹子 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20398332)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 社会的ジレンマ / 認知枠組み / 社会調査 |
研究概要 |
環境問題や交通問題などの社会問題は、個人の合理性と社会の最適性が乖離している社会的ジレンマ問題として捉えられる。ただし、それは研究者の視点からみて社会的ジレンマであると仮定されたにすぎない。行為者の視点を含めた社会的ジレンマの了解の問題を検討するためには、まず、社会的ジレンマの理論的考察を行わなくてはならない。平成23年度は、理論的な整理と社会的ジレンマの事例収を中心に研究を進めた。 まずは、さまざまな事例について、検討をおこなった。環境問題が社会的ジレンマ状況としてしばしば例にあげられる。加えて、交通問題や公共料金の支払いなども社会的ジレンマ状況としてとらえられる。また、市場の中の行為者の行動等も社会的ジレンマとしてとらえられるのかどうかを検討し、証券取引監視委員会へのインタビューを実施した。 さらに、環境問題が行為者の視点からみて本当に社会的ジレンマとして行為者に理解されているのかを明らかにするために、中央大学総合政策学部の学生を対象に、調査を実施した。その結果、多くの学生は環境問題を「仮説的に」あるいは「事実として」社会的状況として認知することが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的に考えたときに、ある事象が社会的ジレンマとしてとらえられるとするのは簡単であるが、現実社会の中で、その問題に携わっている人びとへのインタビューをするなどして、状況を確認するのが難しかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、社会的ジレンマだと考えられ収集された事例に関わった人びとにさらなる聴き取り調査を実施し、彼らが状況を「仮説的に」あるいは「事実として」社会的ジレンマとして捉えているのかどうかを把握する。また、前年度に実施した事例研究から得られた知見に基づき、個人の社会的ジレンマ状況の認知に関する計量調査に向けた調査項目を作成する。そのために、大学生を対象とした予備調査を実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
現実の社会問題状況を個人が「仮説的に」社会的ジレンマとしてとらえているのか、あるいは、「事実として」社会的ジレンマとして捉えているのかを、明確に区別できるような調査方法の確立のために、複数の質問方法を考え、大学生を対象とした予備調査を何度か実施しながら、社会的ジレンマの認知に関する調査項目の確立を目指す。このために、予備調査を実施する予定であるが、研究費はその調査の印刷およびデータ入力の費用に使用する。また、事例収集を引き続き行う予定であるが、聴き取り調査のための費用に研究費を使用する予定である。
|