研究課題/領域番号 |
23530625
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
出口 剛司 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40340484)
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研究分担者 |
赤堀 三郎 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30408455)
飯島 祐介 東海大学, 文学部, 講師 (60548014)
伊藤 賢一 群馬大学, 社会情報学部, 教授 (80293497)
高橋 知子 (渡會 知子) 横浜市立大学, 総合科学部, 准教授 (10588859)
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キーワード | 社会学の公共性 / 理論と実践 / 規範理論 / 社会システム論 / 批判的社会理論 |
研究概要 |
最終年度にあたる2013年度は、本科研研究が主要課題として掲げる「社会学の公共性」の実現を個人化及び個人主義論における「連帯」「きずな」の問題として捉え返し、その理論的・学説史的基礎を日本、海外の理論=学説に求めた。また昨年及び一昨年同様、理論と実践の新たな関係性を志向するテーマセッションを企画し、価値自由命題以降の理論と実践の関係性を「理論命題の正当化」及び「社会学的分析と正義論の統合」という観点から前進させうる理路を提示した。 本科研の研究期間全体を通しては、以下の成果が得られた。まず、現代社会学の主要理論を検討することにより、「社会学の公共性」を実現する前提条件として、一方の個人化と他方のグローバル化という相反する社会変動を考慮する必要があること、さらに国民国家を超えた市民社会及び新たな情報空間の生成という経験的現実に立脚する必要があることを確認した。その上で、社会学の理論実践が、市民的公共空間に対し、政策提言の基礎となる規範命題の根拠及び正当性を「経験的現実に対する内在的超越」という方法的立場から担保=提示することができ、そのことを通して公論形成に一定の貢献をなしうることを明らかにした。さらに、情報化時代における民主主義のありかたについても検討を重ね、排除=包摂理論における社会学的啓蒙の可能性、それに呼応する新たな討議型民主主義(ミニパブリックス)が生まれつつあることを経験的事実の解明を通して明らかにした。こうした成果は、研究代表及び各研究分担者、協力者の論文執筆、学会報告(とくに科研研究会「社会学思想史研究会」を母体とした日本社会学会におけるテーマセッション)を通して広く公開されているが、研究全体の成果として報告書『社会学の公共性とその実現可能性に関する理論的・学説史的基礎研究』平成23年度版、平成24年度版、平成25年度版の全3分冊を作成した。
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