資本主義国における国民精神には、精神が資本主義を育成・促進するという側面と、資本主義によって精神が規制されるという側面とがある。マックス・ヴェーバーは、禁欲的プロテスタンティズムにおける前者の側面を、カール・ラートゲンは日本近代における後者の側面を考究した。ハイデルベルク大学で協力関係にあった二人は、互いに刺激しあいながら、資本主義と精神との相剋を掘りさげ、また第一次世界大戦敗戦後のドイツにおける国民精神の再生の途を探った。同様に、渋沢栄一も、日本において商業道徳を根づかせ、健全な国民精神の確立をめざした。
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