研究課題/領域番号 |
23530634
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
高瀬 武典 関西大学, 社会学部, 教授 (90187956)
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キーワード | 組織 / 組織デモグラフィー / 組織生態学 |
研究概要 |
産業クラスター研究・産業エコシステム研究の枠組みと組織デモグラフィーモデルの接合の可能性について検討を続け、地域における労働力の受給状況と業務デザインについてのより詳細な情報を組み込む必要性を前提に、新たな枠組みのもとで企業や関係機関に対する聞き取り調査を実施した。その結果、情報サービス産業については直接対面的な業務遂行の重要性がより高まってきていることが中央と地方の立地の格差を広げている可能性が高いことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「組織変動と社会変動の関連を統合的にとらえる枠組としてHannan and Carroll(2000)らが提唱している「組織デモグラフィーorganizational demography」に注目し、20世紀後半から21世紀にいたる日本の組織変動の動態を、全業種全地域にわたるデモグラフィカル(人口統計学的)な手法により明らかにする」という目的については生命表の計算等によりおおむね達成できているが、「さらに組織の変動が「都市化」「情報化」「ネットワーク化」などのマクロな社会変動の具体的な諸傾向とどのように関連してきたのかを探求するために、全国の情報関連企業の立地・取引関係・組織個体群の成長ならびに衰退等を対象にした、より集中的な分析を行なう」という目的については産業クラスター研究や産業エコシステム研究の発展状況を見据えて理論枠組みの再構成に時間を要し、この目的、ならびに最終目的である「ポスト工業社会における新しい社会変動モデルの構築」のために、研究期間の延長を申請した。これらの残された目的について今年度中に達成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
日本各地の産業クラスター・産業エコシステムの中から、組織デモグラフィーの応用に適した地域・企業・組織を選んで訪問調査を行ない、当初の計画どおり、マクロな統計分析と個別の組織研究を統合させた結果を得るようにする。また、現時点まで分析に使用したデータのアップデート・補充を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究採択後、本研究の隣接テーマとして、イノベーション研究の領域において産業クラスター研究・産業エコシステムに関する業績の発表が急増した。社会学的な本研究でもこれらを無視できない状況になってきたことを受け、より有効な結果を得るためには当初の計画よりも広範囲にわたる対象をとりいれる訪問調査の必要があると判断し、今年度は訪問調査の準備・計画に先立つ理論的統合のための検討に集中した為、計画時よりも支出が減った。 日本各地の産業クラスター・産業エコシステムの中から、組織デモグラフィーの応用に適した地域・企業・組織を選んで訪問調査を行ない、当初の計画どおり、マクロな統計分析と個別の組織研究を統合させた結果を得る。また、期間延長にともない、最新の状況を最終結果にとりいれるため、既存の統計データへの補充・更新のためのデータ購入を行なう。最終的成果につき、次年度内に開催される国内外の学会大会で報告を行なう。
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