研究課題/領域番号 |
23530640
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
麦倉 哲 岩手大学, 教育学部, 教授 (70200235)
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研究分担者 |
三井 隆弘 岩手大学, 教育学部, 准教授 (20423840)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 引揚者 / ライフヒストリー / 樺太 / 太平洋戦争 / 援護 / 無縁故 / 生活困窮 / マイノリティー |
研究概要 |
平成23年度の実施内容について、年度初めたてた計画と照らして実施した内容は以下の通りである。第一に、研究資料の収集及び分析については、(1)盛岡市について、引揚げ者関連歴史資料、住宅政策、福祉政策関係の資料収集及び分析した。(2)岩手県下盛岡市以外の引揚げ者関連歴史資料については、岩手町における関係の資料収集及び分析をした。(3)北海道大学、北海道庁、札幌市、函館市その他自治体における引揚げ者関連歴史資料、住宅政策、福祉政策関係の資料収集及び分析については、未実施なので平成24年度の取り組み課題としたい。(4)東京都、沖縄県については、住宅困窮層、マイノリティ関連の歴史資料、住宅政策、福祉政策関係の資料収集及び分析を実施した。北海道での調査のみ実施できなかったが、他の調査は実施できた。樺太引揚げ者との比較として重要な意味をもつ、沖縄県の戦争体験者の調査については、進展した。第二に、公営住宅居住者に関する調査として、(1)盛岡市の公営住宅居住者の地域生活・生活課題・健康状態に関する調査を実施した。平成23年度は、予備的な調査のみ実施し、本格調査は、次年度以降の課題である。第三に、本題の樺太引揚げ者のファミリーヒストリー調査である。(1)公営住宅に住む引揚げ者ファミリーを対象としたケース調査(第一期調査)の実施と分析については、予定通り実施した。また、岩手県岩手町の樺太引揚げ者の開拓団集落におけるライフヒストリー調査を実施した。第四に、盛岡市青山地区における地域調査については、概略的な調査のみ実施した。本格調査は、次年度以降の課題である。この研究成果につき現在学術論文を執筆中である。計画した内容のうち、一部に遅れがあるものの、本題の樺太引揚げ者とライフヒストリー調査とその比較においては、順調に進展できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の当初計画では、幅広く関連資料を収集することと、引揚者への聴き取り調査に着手することであった。また、樺太からの引揚者との比較において、樺太引揚者と同様に、厳しい戦争体験と苦難の戦後生活を経験している当事者として、岩手県における満州引揚者、沖縄県における戦争経験者、ハンセン病元患者、大都市における生活困窮層への聞き取りを実施する計画であった。 平成23年度は、予定の90%程度実施できた。北海道での資料収集などは繰り越しとなったが、その一方岩手県内の引揚者への聴き取り調査を予定よりも順調に進み、都市型の引揚者のみならず、開拓村をつくった農村型の入植者のヒストリーの調査へと広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1、岩手県、北海道における引揚者関連の資料収集を継続する。資料の所在が東京都の場合、東京都での資料収集を行う。2、本題である、樺太引揚者の聴き取り調査を継続する。盛岡市内の都市型生活者と岩手町の農村型引揚者を対比して、調査を深める。その他、県内の引揚者の調査も実施する。3、樺太引揚者のライフヒストリーとの比較において、沖縄県の戦争体験者およびハンセン病元患者のライフヒストリー調査を継続する。4、平成23年度、24年度の研究成果として、中間報告的なレポートにまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1、岩手県内各地、北海道、東京都、および沖縄県での資料収集や聴き取り調査を実施するために、旅費として使用する。2、各種資料を購入したり・複写したりするための、物品費・コピー費として使用する。3、収集した資料の整理、聴き取りデータのテープ起こし・編集などに、多くの時間を要するので、これにかかる人件費に使用する。4、資料を作成印刷したりするための消耗品費、印刷費をして使用する。
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