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2012 年度 実施状況報告書

知識・サービス経済における新しい男性性―福祉雇用レジームの変化に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530641
研究機関北海道大学

研究代表者

今井 順  北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30545653)

キーワード国際情報交換
研究概要

理論面では、昨年のドイツにおける共同研究者との対話から、サラリーマン男性性に影響を与えうる福祉-雇用レジームを支える制度として、雇用形態に着目すべきであることが示唆された。正規雇用の制度化が現在のサラリーマン男性性を支えるカギとなっているのなら、正規雇用が相対化されつつある今、特に新しい産業で働く若い世代を中心に、これまでの男性性が正当性を失っている可能性は十分ある。一方で、性別役割分業についてのクロスセクショナルなデータに基づく議論は既存の男性性イデオロギーの強さを報告しており、実際にどの程度仮説通りの変化があるのか、もしないとすればその理由を確認する必要が生じている。
こうした理論面での議論の進展から、調査対象については、正規雇用の正当性が強く残る産業と弱い産業(古く伝統的な産業と新産業)を対比させつつ、その内部で雇用関係に焦点をあて、彼らがどのような男性性を実践しているのか観察する必要が生じている。こうした理論面での進展や研究代表者の所属機関変更などにより、ここ一年で予定していた量的・質的調査を組み合わせた実地調査は行うことができなかった。しかし、昨年来の課題として指摘していた、「より効果的に非正規雇用者にアクセスでき、かつ彼らの労働契約の状況や労働組織の状況に一定の目配りができる調査対象選定」という点については、より慎重を期して臨むことができた。その結果、新所属機関の所在地における行政への聞き取りや業界団体の調査を新たに行い、調査対象の選定について一定の進捗があった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定の実地調査を行うことができなかったのは「遅れ」であるが、特に理論上の有意義な進展によって、調査デザインや調査対象選定に対してより細かな戦略を立てる必要が生じたことによるもので、むしろ積極的な意義があると考えている。現状既に、今夏の実地調査に向けた準備を着々と整えており、おおむね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

平成25年度の研究推進方策としては、修正した実地調査を行う予定である。伝統産業と先進産業から企業規模を勘案しながら数社ずつ選び、調査依頼を行う。夏には、労務管理担当部署(と、存在すれば労働組合)への聞き取りから始め、25-45歳程度の正規・非正規労働者に対しインタビュー調査を行う。昨年の成果から、労働者の性別役割意識のみならず職業意識等を含んだより広範で多面的な意識・態度の調査が必要であることが分かっており、ある程度量を犠牲にしても、より深い聞き取りを優先する予定である。

次年度の研究費の使用計画

実地調査の遅れから、そのための旅費や成果発表のための旅費が繰越になっている。
平成25年度については、実地調査にかかる旅費、一定の調査が終わった段階での成果発表にかかる国内・外国旅費が必要となる。また最終報告の公刊のための費用が掛かる予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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