本研究では、産業構造の変化と雇用の多様化が男性性の再編にどのような影響を与えているのか明らかにすることを目的とし、IT・情報系企業5社の労使に対する聞き取り、非正規雇用者を含む526名に対するアンケート(有効回答率51.7%)、内23名への聞き取りを行った。サラリーマン男性性の形成に企業の労務管理が大きな役割を果たした通り,男性性変化の抑制・促進要因としても大きな役割を果たしていることが分かった。正規雇用者においてはそれが男女協業への足かせになっており、非正規労働者においては、正規雇用で求められるフレキシビリティやコミットメントを忌避する志向性が、「うしろめたさ」を伴いながらも明確に示された。
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