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2012 年度 実施状況報告書

地方自治体の総合計画策定におけるジェンダー視点の主流化に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530644
研究機関茨城大学

研究代表者

渋谷 敦司  茨城大学, 人文学部, 教授 (90216028)

キーワードジェンダー / 原子力
研究概要

ジェンダー視点での総合計画の現状と課題分析という当初の研究計画のうち、福島原発事故後の地域課題と市民運動の状況をふまえて、東海村の総合計画実施過程に参画しつつ原子力防災関係の政策課題について住民アンケート調査を2回実施し、福島原発事故前の2010年のデータと比較しうる原子力世論の変化を把握するためのデータが得られた。また、脱原発を求める女性たちを中心とした市民運動の状況を参与観察によって得ることができた。アンケート調査結果をふまえた東海村における総合計画を軸にしたまちづくり、原子力政策の現状と課題について、日本社会学会大会で報告し、茨城大学地域総合研究所年報第46号に学術論文「福島原発事故と茨城県東海村における原子力政策をめぐる政治的争点の変化と住民意識」として発表した。このような作業を通じて、東海村の総合計画における重点項目の一つである「原子力と地域社会の関係の再構築」という課題について、今後ジェンダー視点からの検討・検証を加えて行く上で重要な示唆を得ることができた。具体的には、次のようなことである。未曾有の原子力事故と言われた臨界事故を経験した東海村は、事故直後からそれまでの原子力政策の見直しを開始し,従来型の「原子力のまち」からの脱却を模索するようになった。この間に実施した原発立地・周辺自治体住民を対象とした意識調査によって、原子力に関する住民意識が東日本大震災と福島原発事故を経験することによって大きく変化し、震災前には潜在的な可能性として留まっていた「脱原子力」指向の意識が震災後に顕在化したこと、それは女性の意識変化や地域活動において顕著であること、女性を中心にした日常生活中での世界観や価値観の問い直しの動きが、地方自治体の総合計画を軸にしたちいきづくり、まちづくりにジェンダー視点でのローカルガバナンス確立という点で特に注目すべきものとなっていること、などである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基礎自治体の総合計画をジェンダー視点から点検するための基礎的データを、原子力政策に焦点化したかたちではあるが、十分なかたちで得ることができた。福島県の原発立地地域や観光地との比較を当初は考えていたが、原発事故の影響でまだ実施できていないが、最終年度に福島県関係の調査は予定通り実施できると考えている。

今後の研究の推進方策

茨城県内の女性を中心とした市民運動やまちづくり活動について、防災、原子力政策に関連する動きをインタビュー調査を中心とした質的調査を通じて把握する。また、アンケート調査を実施し、昨年度調査結果からの意識変化を把握し、分析を行う。福島県内の観光地等の総合計画実施過程について、原発事故の影響を中心に事例調査を行い、東海村等の総合計画実施過程と比較分析を行う。震災・原発事故前には比較的先進的な男女共同参画政策を展開してきていた福島県が、震災・原発事故以降、ジェンダーの問題にどのような取り組みを行っているか、茨城県行政と比較するための事例調査を行う。

次年度の研究費の使用計画

福島県の複数地域の事例調査を行うための旅費。アンケート調査実施のための印刷代、郵送・回収のための郵便代、アンケートのデータ入力作業等の人件費。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] リスク認知研究者は原子力事故の何をどのように問題にしてきたのか2013

    • 著者名/発表者名
      渋谷敦司
    • 雑誌名

      茨城大学政経学会雑誌

      巻: 第82号 ページ: 163-186

  • [雑誌論文] 福島原発事故と茨城県東海村における原子力政策をめぐる政治的争点2013

    • 著者名/発表者名
      渋谷敦司
    • 雑誌名

      茨城大学地域総合研究所年報

      巻: 46号 ページ: 19-47

  • [学会発表] 福島原発事故と科学・技術政策分野におけるローカル・ガバナンスの可能性2012

    • 著者名/発表者名
      渋谷敦司
    • 学会等名
      第85回日本社会学会大会
    • 発表場所
      札幌学院大学
    • 年月日
      2012-11-03

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公開日: 2014-07-24  

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