研究課題/領域番号 |
23530648
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
河島 基弘 群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (80454750)
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キーワード | 人間と動物の関係 / 動物権 / 動物の福祉 / 食文化 / ペットブーム / グルメブーム |
研究概要 |
本研究の目的は、日本における人間と動物の関係の現状を(1)宗教の影響や民俗史などの歴史的視点、(2)社会の個人化傾向やペットブームなどの現代社会論的視点、(3)諸外国との比較という比較文化論的視点の3つの観点から考察することである。特にペットブームとグルメブームの矛盾に焦点を当てながら、人間と動物の付き合いを多角的かつ詳細に検討することで、現代日本社会の特徴の一端を炙り出すことが狙いである。研究2年目の24年度は前年度に続いて文献の読み込みが中心となった。 (1)の歴史的視点の研究に関しては、中村生雄の『日本人の宗教と動物観』、伊藤聡の『神道とは何か』などを読んだ。 (2)の現代社会論的視点では、アンソニー・ギデンズの『親密性の変容』、ジグムント・バウマンの『液状不安』、フランス・ドゥ・ヴァールの『共感の時代へ』、山田昌弘の『家族ペット』などを読み込んだ。 本年度は(3)の比較文化論的視点関係の文献の読み込みが中心となった。これに関連して、動物と人間の関係や動物の殺処分を扱ったビデオなどを視聴した。具体的には、キャロル・アダムズの『肉食という性の政治学』、英文ではKatherine C. Grierの『Pets in America』、Donna Mauerの『Vegetarianism』、ビデオでは『フード・インク』、『いのちの食べ方』のほか、人間世界における豚の冒険を扱った『ベイブ』などを視聴した。 上記に加えて、ヒトと動物の関係学会のシンポジウムや定期大会に参加したり、動物保護団体ALIVE発行の会報などを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歴史的視点、現代社会論的視点の文献の読み込みは概ね終了した。比較文化論的視点、英米における動物保護運動の思想や実践について書かれた文献も数多く読んだが、まだ不足しており、引き続き読み込んでいく必要がある。日本国内の識者へのインタビューや参与観察はほとんど進まなかった。反省材料であり、25年度に挽回したい。
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今後の研究の推進方策 |
文献の読み込みを継続するとともに、国内外の識者へのインタビューを本格化させたい。25年度は特にアメリカ、イギリスなどにおける調査・文献収集に取り掛かる必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は81184円である。25年度分と合わせて、文献の購入費、旅費などに充てる予定である。
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