研究課題
本研究は、捕鯨問題を事例に国際的対立状況において当事国がコミュニケーションをどう展開させているか分析することおよび紛争解決プロセス文脈で考えられるコミュニケーション戦略の課題や今後の可能性について検討することを目的として実施した。研究最終年度は、前年度までに収集したデータを使った分析を行った。前年度までに、文字媒体での報道内容に加え、鯨に関するミュージアムの展示内容も分析に含め、各社会の物語の枠組みの相違を確認し、また、非構造化(場合によって半構造化)インタビューを通じてデータを収集した個人の語りや、IWCの会議録内容も分析している。こうしたメディア内容、個人の語り、国際会議での主張内容など、個々の部分調査・分析はそれ自体で意味を持たないわけではないが、本研究の目的の一つであるコミュニケーション戦略の今後の可能性を提案するのに、背後にどのようなコミュニケーション構造が成立しているのか、全体からもう一度捉え直すことが必要であり、そのために、新たな理論構築に向けての模索を続けた。同時に、研究期間中に国際司法裁判所の判決が出るなど社会文脈の変化もあったため、考慮すべき要素の再検討も行った。研究補助を受けた期間中に研究成果を出すのが望ましく、また当初そのように予定を組んで研究に臨んだが、データの追加や分析の再検討などに遅れが生じ、成果として公表できたものは多くなかった。研究費補助の期間は終了を迎えたが、複数の論文は国際学術誌へ投稿中であり、引き続き研究を続けていく。
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Proceedings 'Beyond Asia: Communicating Asian Culture to the World' 10th Biennial Convention of the Pacific and Asian Communication Association 2014
巻: 1 ページ: 202-213