戦後日本の家業経営の変容を、世代差、地域差、階層間の差異に注目して、家族規範と経営理念およびそれらの関連から問うことが本研究の主題であった。特に農業経営については、学説史上、前近代的存在として位置づけられる傾向が強く、戦後の変化を問う問題意識が停滞してきたことをふまえ、千葉県を対象として「農村の近代化」が、家や村との葛藤のなかで、当の農業青年たちによってどのように実践されてきたかを考察した。創業時期の違いはあっても、家業経営体は、現代的な家族関係や規範と事業経営の維持・継承との間の調整やマネージという課題を共通に抱えており、極めて現代的な問題として変容過程を問う必要性が再認識された。
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