本研究課題の最大の目的は、1990年代以降さまざまな形で理論的な蓄積が行われてきた物語論あるいはナラティブアプローチを用いてセルフヘルプ・グループやピア・サポートの現場でどのようなことが生じているのかを実証的に分析することにあった。 データとしては「あしなが育英会」が出版している手記集をテキスト化したものを基盤に、当時の関係者や当事者に対するインタビュー調査を行い、それを上記の視点から分析することを試みた。分析の結果として、「共同体の物語」と「自己物語」の間にある緊張関係に着目して、これまでにはなかった研究成果をあげることができたと考えている。
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