研究課題/領域番号 |
23530654
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
安藤 孝敏 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00202789)
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キーワード | 社会的孤立 / 団地 / 高齢者 / 高齢者支援団体 |
研究概要 |
本研究は、都市部の団地に暮らす独居および夫婦のみ世帯の高齢者の、社会的孤立状況と支援団体とのかかわりを明らかにし、支援する側と支援される側の双方の視点から、高齢者の社会的孤立問題への対応策を検討することが目的である。 平成24年度は、団地全体における独居高齢者の社会生活などの状況を量的に把握するために、公田町団地に居住している独居高齢者289人のうち、65歳~84歳の258人を対象とし、留め置き法(一部、訪問面接法を併用)による質問紙調査を実施した。調査では、基本属性に加えて、家族に関する項目、友人との関係、自由時間の活動、外出頻度や内容といった社会関係に関する項目、孤独感や移動能力といった心身の健康度に関する項目などを尋ねた。調査対象者のうち、実際に配布できたのは250票、回収数は139票(回収率55.6%)であった。 また同時に、団地住民によって組織された支援団体の調査を継続しつつ、団地に居住している独居および夫婦のみ世帯の高齢者と継続的にかかわりを持ち、約10人から複数回にわたる聞き取り調査を実施し、現在の社会的ネットワークの在り様、ライフストリー、孤立に至った経緯、支援団体とのかかわりやその活動に関する意識などについて明らかにした。 昨年度に実施した複数の都市部の団地での視察・聞き取り調査の結果を詳細に検討し、研究フィールドとして設定している公田町団地の相対位置づけを明らかにできたので、その成果の一部を国際学会で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、ほぼ当初の予定どおりに、独居高齢者を対象とする質問紙調査、独居および夫婦のみ世帯の高齢者への複数回にわたる聞き取り調査が実施でき、団地に暮らす高齢者の社会生活の状況を量的および質的に把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者への聞き取り調査を継続しつつ、平成23・24 年度において実施した複数の調査から得られたデータの分析を行い、都市部の団地に暮らす独居および夫婦のみ世帯の社会的孤立状況を明らかにする。加えて、団地での質問紙調査のデータと比較するために、都市部の他の地域で暮らしている独居高齢者を対象とする質問紙調査を実施する。これらの結果をもとに、高齢者の社会的孤立問題における、支援側と支援される側の意識の齟齬や課題を浮き彫りにし、政策として考えられている社会的孤立の解決策や予防策が妥当であるかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、当初の予定どおりに、これまでに得られたデータをもとに、都市部の団地に暮らす独居および夫婦のみ世帯の社会的孤立状況を明らかにする。また、他の地域での補充調査のデータも加えて、高齢者の社会的孤立問題における、支援側と支援される側の意識の齟齬や課題を浮き彫りにし、政策として考えられている社会的孤立の解決策や予防策が妥当であるかどうかを検討する。 次年度に使用する研究費が生じたのは、自記式質問紙調査において回答が困難であると想定された超高齢者(85歳以上)を調査対象から除外したことにより、当初の予定よりも調査実施にかかわる費用が減額されたためである。 研究成果の発信として、これまでに得られた研究成果の一部は国際学会で報告する予定であり、研究費の多くは、国際学会での報告にかかわる経費と補充調査の実施費用として使用する。
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