本年度は厚生労働省『雇用動向調査』(2012年,年平均)の集計表のデータを用いて,入職経路の選択とほかの変数との関係について分析をおこない,以下の点を明らかにした. 第1に,入職者割合が高い入職経路の上位3位は順に,広告,公共職業安定所,縁故である.第2に,新規学卒者では学校経由の入職者割合が高いものの,広告や職安などほかの経路を通じて入職する者も多い.中学・高校卒の入職者割合の高い産業では,学校経由の入職者割合が低い.第3に,大企業や女性,一般未就業者,パートタイム労働者,販売従事者,サービス職業従事者,第三次産業を中心に,広告経由の入職者割合が高い傾向にある.パートタイム労働者で広告経由の入職者割合が高い.第4に,ブルーカラー的な職業や小規模企業,「建設業」,「医療・福祉」で公共職業安定所を経由した入職者割合が高い傾向にある.また,高学歴者は公共職業安定所を経由した入職者割合が低い傾向にある.第5に,年齢の高い者や大企業,「建設業」で縁故による入職者割合が高い.第6に,前会社からの紹介や出向,出向復帰による入職者割合は,男性のほうが女性より高い.また,50歳代で出向や出向復帰による入職者割合が高い.年齢が高いほど前会社の紹介による入職者割合が高い.企業規模が大きいほど出向や出向復帰による入職者割合が高い傾向にある.管理的職業従事者は出向による入職者割合が高い.第7に,管理的職業従事者や「教育,学習支援業」で,その他の入職経路による入職者割合が高い.第8に,民営職業紹介機関を経由する入職者割合は,それほど高くない.民間職業紹介機関を経由する入職者割合は,20歳代後半~40歳代後半にかけて,ほかの年齢層に比べて高くなっている.また,「前職が雇用者かつ前職と同一産業である者」の入職者割合が高い産業ほど,民間職業紹介機関を経由する入職者割合が高い傾向にある.
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