現在、ソーシャル・キャピタル醸成の政策が各分野で注目されている。しかし、女性の場合、地域や家庭での活動を従来多くになっており、人の絆の強調が女性の負担や不平等を再生産することが危惧される。本研究では実証的な調査票調査を行い、ジェンダーとソーシャル・キャピタルの関係について、特にケア活動と家の問題という新たな質問項目をいれて検討をおこなった。その結果、ソーシャル・キャピタルは市民性や寛容性の涵養には確かに貢献するが、ジェンダーや家の問題解消には関係していないことが明らかになった。性別分業に沿った形ではなく、それとは異なる活動やネットワークを育成・援助することが必要だといえる。
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