研究概要 |
今年度は,研究実施計画に示したとおり,金沢市において実施した市民意識調査のデータ分析を行った.また,科研では予定していなかったものであるが,金沢市で実施した意識調査とほぼ同様の調査を,石川県白山市の委託により実施し,データを手にすることができた.これにより,金沢市と白山市のデータを比較することができ,分析の精度をあげることができた.おおむね,両市での回答傾向は一致しており,これらの調査結果はかなり一般化できるものではないかと予想している. 得られた知見は以下のとおりである.(1)自閉症に関する認識について,因子分析を行った結果,2つの因子を見出すことができる.第1因子は,「自閉症は心の病」「家に閉じこもりがち」「社会が自閉症を生み出す」「親の育て方が悪い」に関して負荷が高いので,「世俗的認識」と解釈する.第2因子は,「自閉症の原因は遺伝」「自閉症の原因は脳機能障害」において負荷が高いゆえ,「医学的認識」と理解できる.(2)年齢が高いほど,世俗的認識をもっている.女性のほうが医学的認識をもっている.発達障害・精神障害の人との関わりのある人のほうが,医学的認識をもっている.発達障害に関する授業・講演を受講したことがある人のほうが,医学的認識をもっている.(3)年齢が高い人のほうが,乳幼児の検診を拡充することに賛成である.学歴の高い人のほうが,検診拡充に慎重である.子どものいるひとのほうが,検診拡充に賛成である.自閉症の原因に関して世俗的認識をもつひとのほうが,検診拡充に賛成である.(4)女性のほうが薬物治療に賛成である.学歴の高い人のほうが薬物治療に慎重である. 発達障害者家族調査および学校調査に関して,調査自体はほぼ終えることができたが,分析はまだ中途の段階である.次年度も継続して行う予定である.
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