研究課題/領域番号 |
23530658
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田邊 浩 金沢大学, 人間科学系, 教授 (50293329)
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研究分担者 |
竹中 均 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90273565)
松田 洋介 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80433233)
竹内 慶至 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (80599390)
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 発達障害 / 医療 / 差別 / 福祉国家 / 障害者福祉 / 科学技術 |
研究概要 |
本研究では,「社会問題化」しつつある「自閉症スペクトラム障害」に関する社会認識と社会生活場面における「問題的状況」がどのようなものであるのかを明らかにすることを目的としていた.最終年度は,これまでに実施した自閉症認識に関する市民を対象とした意識調査のデータを再分析したり,前年度から引き続いて当事者家族への聞き取り調査を行ったりするなど,研究実施計画通りに,先行する2年間にまだ達成できていなかった部分を補足する調査を行った. 自閉症あるいは発達障害に関する報道や書籍の刊行など,関心は高まっているように思えるが,実際に人びとが自閉症についてどのような認識を有しているのかについて,意識調査のデータ分析によって明らかにすることができた.主な知見としては,市民は,自閉症という名称については多くの人が知ってはいるが,実際にその詳細についてはあまり知ってはいないということであった.こうしたことはこれまでにまだ把握されていなかったことであるだけに,一定の研究上および社会的な意義を有すると考える. 自閉症当事者家族への聞き取り調査では,1)自閉症にいかにして気づくのか,2)自閉症という診断を受けることがどのような意味をもたらすのか,3)自閉症の子どもを育てることはどのようなことであるのかを明らかにしようとした.これらの調査研究よって,当事者や当事者家族を支援するために手がかりも得られたと考える.さらに調査を継続することが必要であるが,中間的な研究発表を準備中である. 研究成果を取りまとめるために,研究会を月2回のペースで開催した.最終的に,3年間の研究成果をとりまとめた報告書『現代社会における自閉症スペクトラム障害の社会認識と医療化に関する総合的研究』(全225頁)を作成した.さらに,研究書の刊行に向けて,研究代表者,研究分担者がそれぞれ論文を執筆中であり,また出版社との交渉も進めている.
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