本研究では、第1に、組織的無責任という観点から、福島原発事故と水俣病事件の比較分析を行った。組織においては、本来組織が対処すべき「問題」を、外部との「コンフリクト」と見なすことによって、必要な対応を怠る可能性が常にある。両事例でも、加害企業と政府の規制機関が、そのような対応を行ったことを明らかにした。 第2に、環境リスク認知に関する質問紙調査の分析を行った。その結果、階層帰属意識が低い人は、社会的信頼も低く、その結果食品の放射性物質の基準に関して無関心か、逆にゼロリスクを求める傾向があることが明らかになった。
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