研究課題/領域番号 |
23530665
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
寺岡 伸悟 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (90261239)
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研究分担者 |
櫻井 清一 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60334174)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 農商工連携 / 農業経営 / 社会学 / 地域活性化 |
研究概要 |
・農商工連携の地域的背景の調査として千葉県南房総地域の農をめぐる諸事業の聞き取りと観察を実施した。隣接数市町村(合併前区分)の生活範域での有機的連携が活性化の要素であるらしいこと、それぞれの地域的まとまりを基盤として、その上に隣接地域との連携が可能となった地域では成功の可能性が高いのではないかと予想されること、また大都市消費地からの適切な距離というべきものの存在などが明らかになった。・農商工連携データベースをもとに全国の連携事業者の所在地を調査した。農商工連携事業者のデータベースは、本研究の問題意識のひとつである、農商工連携における第一次生産者のポジションの問題、またコミュニティビジネスとしての性格の確保という観点を考える重要な基礎資料となると考えられる。また、現時点での農商工連携事業のシステム面の概要・傾向を把握するという点においても重要な基礎資料が得られたといえる。・食の六次産業化、地域ブランドづくり、そして農商工連携について、全国で講演や指導を行っているコーディネーターへの聞き取り調査を実施した。いくつかの都道府県自治体の取り組みと成果、地域リーダーとなりえる人材の特性(世代)、さらにこうした事業や取り組みを促進していくための各地域でのコーディネーターのあるべきイメージなどについて情報を得ることができた。・こうした成果から、すでに農商工連携という事象についてこれまで明らかになった諸点を国際学会で第一段階として発表するところまで来ていると判断し、世界農村社会学会(IRSA)に報告を申し込み、審査の結果、7月末に発表を行うこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・研究の出発点となるべき具体的事例調査については、南房総地域と奈良地域の2つでの聞き取り・観察調査が予定どおり進んだ。またそこからその社会的背景として考える必要のある観点なども発見することができた。その結果、24年度国際学会で、その一部分を報告できるところまで達した。・全国の連携事例についての概要把握については、計画当初の連携代表者だけではなく連携関係者についてできるだけ広く情報を得たほうが良いという判断に達し、その基本情報について調査をおこないデータベースができあがった点は、これに基づくことによってより的確な統計調査が可能となることが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
・農商工連携事業の連携事業者についてのデータベースが出来上がったので、これを基にした統計的な調査分析を実施する。そのなかでは、連携の地域的範囲や、連携のタイプについて、あらたな分類や知見を提出することを目指したい。・こうした調査分析から、農商工連携やそれと深い関係のある六次産業化事業のなかで、着目すべき事例が見えてくると考えられるので、その訪問調査を実施する予定である。・上にも記したが、農の六次産業化は農商工連携とどのような相違があるのか。地域活性化という観点から、両者の利点と課題について、比較の視点を交えながら分析を深めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
・本年度前期の調査によって、農商工連携の実態をより詳細に捉えるためには、当初計画していた代表者(組織)だけでなく、連携事業者も対象にした調査が望ましいということが明らかになった。そこで、23年度予定していたアンケート調査を24年度の実施事項とし、23年度は連携授業者の業種や所在の資料化作業を優先した。このため、23年度から次年度への繰越金が生じることとなった。 ・23年度の調査研究の進捗によって、農商工連携という国内の農業活性化、地域活性化についての重要な事業の概要や特徴が一定程度見えてきたため、平成24年度は、予定を早め国際学会(世界農村社会学会議)での発表を実施する予定である。・上記に加え、23年度から引き続きの課題として、事例のインタビュー調査、さらに連携のコーディネーター的役割を果たす組織・人材へのインタビュー調査を実施していきたい。
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