研究課題/領域番号 |
23530667
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
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研究分担者 |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Laos / 水田漁撈 / 生業 / 移住 / 慣習的土地利用 / 村落 |
研究概要 |
初年度であるため、まず調査対象地域をアタプー県ソムスック村、プーホン村の両地域とすることを決定し、既存の資料整理、新たな情報収集を行った。それと同時に、関連する文献(少数民族の情報、土地利用関連の資料、統計書、集落の電子地図)を入手した。 調査については、大きく、生業との関連で土地利用秩序を調査するAグループ(代表者、研究協力者)と、食物に関する母親の知識と食行動を通して課題を考えようとするBグループ(研究分担者、研究協力者)に分かれてすすめることに決定した。 現地調査には、3回の時期に分けて、予備的な調査とデータ収集をおこなった。Aグループにおいては、水田を中心とした土地利用のサイクル、各世帯の土地所有の実態、相続について全戸調査を行った。また、近隣にできたベトナム資本のプランテーション農園(調査村落の住民が多数雇用されはじめている)のシステムなどについても聞き取りを行った。Bグループについては、今年度から調査をはじめたため、地域全体の社会経済状態、食物摂取(栄養)・消費状況などの把握に努めた。そして、医師の資格をもつ連携研究者を中心として、3月には5歳未満の子供がいる全世帯について栄養状態の測定をするとともに、食に関する知識と行動についての質問紙調査を行った。 データについては現在入力中であるが、以上2つの調査からは、隣接する地域に居住し、いずれも政府の政府の移住政策にともなって低地移住した村落でありながら、生業の違い(水田耕作の歴史をもつか焼畑の歴史をもつか)によって、土地利用の秩序や日常的に食する動植物が大きく異なることが明らかになった。今後、これらの比較も検討にいれながら、さらに綿密な資源分配についての調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画がほぼ予定通りに進行している理由としては、Aグループの調査地は前年度からの継続調査であり人間関係がすでに構築されていること、Bグループの調査は、道路事情がよい乾期に集中した調査期間がとれたことによる。 ただし、土地利用についてグループディスカッションや聞き取りだけでは限界があり、住民が往来する森林や川の近辺などに実際に足を運んで聞き取りを行う必要があり、これには時間と手続き(ラオスは社会主義国であるため事前に許可)を要する。また、得られたデータの内容については、現地の資料の信頼性(とくに面積などの数字)について疑問があり、再点検しなければならない点もあると考えている。 また、今年度は連携研究者によるベトナム企業の調査ができなかった。 以上のことから、ほぼ予定通り進行しているが、次年度以降に残されている課題も多い。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に得られたデータ(水田の土地所有にかかわるデータ、食物調査)の分析を行うと同時に、それをふまえて引き続き現地調査を行う。とくに質問紙などによる量的調査も含めた調査を重点的に行う。行政資料や周辺情報の収集とともに、質問紙調査、コミュニティの各層への聞き取り調査、世帯ごとの調査を行う。そして、乾期にはできるだけ土地利用の現場に足を運んでの観察と聞き取り調査を行う予定である。 また、25年度までには、ベトナムのゴム園の調査(雇用側、被雇用側=ラオスの住民双方)も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記のような研究予定であるため、次年度も引き続き、現地調査のための研究費を充実させたい。また、通訳や現地調整などの影響も大きいため、現地での謝金も充実させたいと考えている。
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