研究課題/領域番号 |
23530667
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
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研究分担者 |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
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キーワード | 国際情報交換 / ラオス / ベトナム |
研究概要 |
調査対象地であるラオスアタプー県の農村について、土地や資源の利用・分配に関する慣習法の内容について調査し、それが男女、年齢層、土地の有無、社会的な立場、居住歴などの違いによってどのように認識されているのか、そして、それらがどのように変化しつつあるのかについての基礎的な調査を行うことが本研究の目的である。 初年度に基礎的な情報を収集したが、24年度はさらにそれに加えて、調査地周辺にプランテーション農園の経営をはじめたベトナム企業を訪問し、事業計画や経営実態などについて聞き取りを行った。また、とくに周辺の資源についての食物としての利用の実態を調査するために、3つの異なった生業タイプの集落を選定し、集落の高齢者から、摂取食物の入手先や摂取頻度についての聞き取りを行うとともに、高齢者全世帯から、土地や水田内の養殖池などについての相続や新規開拓の方法、生計の実態と栄養状態との関連についての量的調査を行った。また、昨年度に引き続き、同じ民族(低地移住前に共同生活していたグループ)の各村落をまわり、土地利用の歴史について聞き取りを進めた。 これらのうち、栄養状態については、大学院生とともに論文化し、来年度に出版される予定(受理確定)である。土地や資源の利用についてのデータについては、途中段階であり、もう一度の調査が必要であったが、カウンターパートであるラオス国立公衆衛生研究所スタッフとの日程調整が不調におわり、乾季の調査が不可能になったため、これについては次年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度に予定していた、土地や資源の利用についてのデータ、とくに注目している水田漁労システムについての量的なデータ収集が未完である。これについては、未舗装道路で結ばれた複数の村落を回るため、道路事情のよい乾季に予定していたが、研究協力者であるラオス国立公衆衛生研究所(NIOPH)スタッフとの日程調整が不調におわり(研究協力者の一人が妊娠したため)、今年度中の乾季の調査が不可能になった。 これについては、25年度の前半に、新たな研究協力者の協力も得ながら調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度にできなかった量的な調査を行う。とくに水田漁労システムに焦点をあてながら、移住前から近年に至る生業や土地利用の変化、それにともなう信仰や慣習、次世代や分家者に対する分与や相続のしくみなどについて、条件の異なる周辺の集落との比較調査する。 その後データの分析を行い、個々人がテーマごとにまとめた報告について、研究会やディスカッションを通して考察を深め、関連学会(一つは11月開催の民族衛生学会を検討中)で報告をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度未使用額は、研究代表者のラオスでの現地調査費用にあてる予定である。25年度配分額については、連携研究者、研究協力者らの補足調査費用、資料複写や購入費用などにあてる予定である。
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