研究課題/領域番号 |
23530669
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
原 俊彦 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (00208654)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ドイツ |
研究概要 |
日本の人口移動統計には、住民基本台帳人口移動報告と国勢調査報告人口移動集計があるが、いずれも配偶関係別の移動人口数は集計されておらず、有配偶、未婚、離別、死別ごとの移動率の相違や、それが地域の人口構造に与える影響は殆ど未解明のままに止まっている。本研究では、国勢調査で人口移動集計が実施される大規模調査年の2000年と2010年に合わせ配偶関係別純移動率を推計するともに、総務省統計局に特別集計を申請し実測値を求め、推計手法の精度確認と改良を行う。札幌市をケーススタディに、配偶関係別移動の分析という、人口移動研究の新領域を拓こうとするものである。 初年度の平成23年度では、2000年-2005年の期間を推計するために開発したモデルを用いて、1995年-2000年の配偶関係別純移動率の推計、さらに2010年の国勢調査の結果公表を待ち、これを用いて2005年-2010年までの配偶関係別純移動率の推計を行い、最終的に3区間の推計結果を比較分析するとともに、推計モデルの改良を進めた。 また総務省統計局に特別集計を申請し、すでに結果が公表されている2000年国勢調査の前住地データの個票を札幌市への転入者と札幌市からの転入者について入手し、このデータをSPSSを使い配偶関係別に再集計することに成功した。 初年度の成果としては、推計モデルの安定性の確認及び細部の改良、2000年についての特別集計実施が挙げられる。現在、推計モデルによる推計結果の評価、2000年国勢調査の特別集計結果との比較検討を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、23年度は、1995年-2000年の配偶関係別純移動率の推計と、総務省統計局に特別集計の申請のみを予定していたが、2010年度の国勢調査結果が思いの外、早く公表され電子データで入手できたことにより、24年度に予定していた2005-2010年の推計作業も行うことができた。また特別集計の申請も予想外にスムーズに進展し2000年の移動データが確保でき、とりあえずの集計作業も完了した。ただ、今回の申請でわかったことだが、国勢調査データの利用は公表済みのものに限られるとのことであり、2010年の移動人口に関する統計が公表されるまでには、なお時間を要するため、データの入手にはやはり25年度、ギリギリまでかかると思われる。また推計結果と実測値の比較は当初考えていた以上に複雑な加工(移動人口数の死亡や配偶関係異動の補正)が必要であることが判明。24年度はこの作業を中心に研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
(1)推計モデルによる1995年-2000年,2005年-2010年,2005年-2010年の配偶関係別純移動率の推計結果の比較分析:推計方法の改良、データ加工の自動化、データの精度の検討、死亡率の仮定、配偶関係別死亡率の格差の検討、配偶関係不詳の影響の測定方法の検討など。(2)2000年国勢調査の特別集計結果と1995年-2000年の配偶関係別純移動率の推計結果の比較分析:実測値と推計値の比較方法の検討、結果の比較検討、推計モデルの改良。純移動率と移動率(転入、転出、道内、道外)との関係の解明。(3)2010年国勢調査の特別集計の申請準備(4)推計モデルの他地域への適用と配偶関係別移動についての理論的考察
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度から今年度へ繰り越す補助金が発生したが、これは23年度内のデータ分析作業のうち、総務省統計局から入手した国勢調査データの再集計作業には、補助者を使ってはならないという規則があることが判明、その分の作業時間が当初予定より減少したことによる。この分は、今年度の推計値と再集計値との照合作業への支出となる。また、今年度は総務省統計局、国立社会保障・人口問題研究所、他大学研究者などとの意見交換、学会での発表などのため数回の出張を予定している。また推計モデルの他地域への適用を図るため、データ収集加工作業に研究補助員を活用する予定である。
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