研究課題/領域番号 |
23530669
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
原 俊彦 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (00208654)
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キーワード | ドイツ |
研究概要 |
日本の人口移動統計には、住民基本台帳人口移動報告と国勢調査報告人口移動集計があるが、いずれも配偶関係別の移動人口数は集計されておらず、有配偶、未婚、離別、死別ごとの移動率の相違や、それが地域の人口構造に与える影響は殆ど未解明に止まっている。本研究では、国勢調査で人口移動集計が実施される大規模調査年の2000年と2010年に合わせ配偶関係別純移動率を推計するともに、総務省統計局に特別集計を申請し実測値を求め、推計手法の精度確認と改良を行う。札幌市をケーススタディに、配偶関係別移動の分析という、人口移動研究の新領域を拓こうとするものである。 2年度目(平成24年)では1995年-2000年、2000-2005年、2005年-2010年の3区間の推計結果を比較分析するとともに推計モデルの改良を進めた。その成果は日本人口学会(第64回大会2012年6月)で報告するとともに、その内容を論文化し大学紀要(2013年3月)に投稿・掲載した。また2000年国勢調査の前住地データの個票を独自集計した結果と、1995年-2000年の推計モデルによる推計結果の比較検討を行ない、その成果を日本人口学会・東日本部会で報告(2013年3月)するとともに、それを論文化したものを『人口学研究第49号』(2013年6月発行予定)に投稿し掲載決定となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1995年-2000年、2000-2005年、2005年-2010年の3区間の推計モデルの開発、比較検討が無事完了、 また総務省統計局に申請し、その結果を前住地データの個票を独自集計するという作業も2000年については完了、また推計モデルと実測値の比較検討も行い、推計モデルの信頼性についても、まずまずの成果が得られている。当初計画の作業としては、公表待ちとなっていた2010年の国勢調査データの利用申請を行い、この実測値と2005年-2010年推計モデルとの比較検討を行うことが残っている。このデータの入手には、手続き的に時間が掛かること、また推計結果と実測値の比較は当初考えていた以上に複雑な加工が必要であることを考えると、最終年度は時間的には厳しい状況にあるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
「人口学研究第49号」の論文掲載(2013年6月発行予定)を待ち、総務省統計局に2000年国勢調査データの利用報告書を正式に提出するとともに、最新の2010年国勢調査の前住地データの利用申請を行う。 データ入手後、これを加工、再集計を行う。その結果を受け、2010年国勢調査の特別集計結果と2005年-2010年の配偶関係別純移動率の推計結果の比較分析を行い、2000年の比較分析の結果も合わせ、実測値と推計値の比較方法の検討、 結果の比較検討、推計モデルの改良を行い、研究全体の成果をまとめる。なお、2010年国勢調査の前住地データの利用申請が完了しない場合は、並行して準備してきた東京都など他の大都市圏データの推計作業を進め、札幌市の推計結果との比較を行うことを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度から今年度へ繰り越す補助金が発生したが、これは23年度内の旅費のうち、総務省統計局との打ち合わせなど出張があまり必要とされなかったことによる。今年度は最終年度であり、総務省統計局に2000年国勢調査データの利用報告書を正式に提出、引き続き2010年国勢調査の前住地データの利用申請を行うなどを予定しており、総務省統計局、国立社会保障・人口問題研究所 、他大学研究者などとの意見交換、学会での発表などのためかなり回数の出張を予定している。また引き続き推計モデルの他地域への適用を図るため 、データ収集加工作業に研究補助員を活用する予定である。
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