研究課題/領域番号 |
23530673
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
樫本 喜一 大阪府立大学, 人間社会学部, 客員研究員 (10598965)
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キーワード | 原子力政策 / 日本現代史 |
研究概要 |
1970年代後半に持ち上がった使用済核燃料再処理工場立地計画の内容と地域住民による反対闘争の実態調査・分析というテーマに即した研究計画上の現地調査に関し、奄美群島の徳之島及び北海道の奥尻島へ長期出張し、一次史料収集と関係者への聞き取り調査を行った。今回の調査では、奥尻町議会議事録中に関連文書資料を新たに多数発見するなどの成果を得た。また、2012年5月19日、徳之島で催行されたシンポジウム(ゆいまーる琉球の自治in徳之島)において現時点で判明した成果を発表し、現地の人々に情報を還元することができた。地域の将来を考える上で有益な情報を提供できたと考える。 これまで、徳之島の使用済核燃料再処理工場立地計画とそれに対する反対運動などを代表例とする、奄美群島の開発問題と社会運動の実態に関する研究・資料保存は立ち遅れていた。本研究により、特に前年刊行した研究論文によって、これらの問題に対する注意を喚起し得たことで、現在、資料集成の出版企画が進行中である。 福島原発事故後に生起した、核燃料サイクル政策を今後も継続するかどうかという社会的な大問題に対し、本研究は、その是非を一般国民が判断するための材料を提供することができると思われる。今後も適宜、情報発信を速やかに行うことが重要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年の交通事故による怪我も、研究に支障のない程度まで回復した(後遺障害認定12級6号・上肢の三大関節(右肩)の可動域制限は残存)。長期休暇を利用した現地調査をこなした結果、ほぼ当初の予定に近いところまで研究の進捗状況は挽回できた。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査が必要な地域はあと四箇所を残す。再処理工場立地計画が短期間で撤回された地域なので、調査も短期集中で行う予定である。最終年度となる本年は研究活動に、より一層注力し、成果を得るようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費使用計画の多くを占める現地調査は、南西諸島と九州沿岸部、東北地方と北海道である。当初の研究計画で見積もっていた費用で実行可能な範囲であるが、不備を残さぬよう効率よく調査を実施する。
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