1970年代の核燃料再処理工場立地計画とそれに抗って発生した地域反対闘争については、特に奄美群島徳之島において発生したものが最大の出来事であり、この一連の詳細を初めて明らかにした。現地調査等の段階で収集した大量の資料は全体をデジタル化し、長期間の保存に耐えられるように配慮した。またデジタル化した資料の中でも重要と思われるものを厳選の上、資料集として出版した(2014年12月、すいれん舎刊、戦後日本住民運動資料集成9・奄美群島住民運動資料全8冊中の関連部分)。本資料集成の解題の執筆を担当し、資料のもつ重要性を解説した。 あわせて、研究成果の一部を複数著者で編んだ書籍(2014年10月、古今書院刊、東日本大震災と災害周辺科学・災害を科学する2)にて発表した。 研究の社会的還元として徳之島および奄美群島の地元紙である南海日日新聞に記事を連載中であり、地域に研究成果を解説しつつ公報している。今後、本連載などを元に研究単著を出版するなどして、国内に広く、これらの研究成果のもつ異議を問いかける予定である。また、徳之島以外の事例についても、資料収集は完了しているので、順次論文などにまとめていく予定である。 本研究に関連して、太平洋島嶼地域の住民運動と1970年代後半の日米核燃料サイクル政策の相互影響についての疑問点が浮上してきたので、現在、新研究として発展中である。
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