研究課題/領域番号 |
23530682
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
加藤 恵津子 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (10348873)
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研究分担者 |
久木元 真吾 公益財団法人家計経済研究所, 研究部, 次席研究員 (10470105)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 若者 / 海外 / やりたいこと / 仕事 / 人生 / 英語 / 自分(探し) / ワーキング・ホリデー |
研究概要 |
平成23年度は計画どおり、(1)加藤による海外フィールドワーク、(2)久木元による統計調査、(3)日本ワーキング・ホリデー協会との協働が行われた。 (1)7月31日~8月15日、オーストラリア・シドニーを初訪問。8名の一時滞在者、2名の元ワーキング・ホリデーメーカーを始め、若者とそれを取り巻く人々に包括的にインタビューした。その結果カナダとの比較で、(1)オーストラリアでは学生ビザ保持者も就労できるため、一時滞在者は滞在目的において混乱をきたしやすい、(2)「やりたいこと」でなく「やりやすいこと」「なりたい自分」という言い回しが散見されることがわかった。現地協力者の川嶋久美子氏(オーストラリア国立大学博士課程[当時])とは、現地(8月)と日本(12月)で意見交換をした。 次に平成24年3月3日~18日、カナダ・バンクーバーにて、14名の一時滞在の若者とそれをとりまく人々にインタビューした。長期滞在者からは、日系人雇用主からのハラスメントを中心に聴き取りを行った。大卒者の語りからは「やりたいことがわからない」というなじみの言い回しが聞かれた。また3月8日、企友会(バンクーバー日系ビジネス協会)25周年記念会合において講演とパネルディスカッションを行った。 (2)平成24年3月14日~16日、日本在住の25歳から39歳を対象に「海外経験」「仕事観」「将来の展望」を中心トピックとするネット上のアンケート調査を実施。男女半々、計1236人から回答を得た。「理想の仕事」として「やりたいことが実現できる仕事」と答える割合が高いこと、18歳以降の海外経験者の半数には、18歳以前にもなんらかの海外経験があること、海外経験者の現状への満足度は非常に高いことなどがわかった。 (3)平成23年8月、加藤が、日本ワーキング・ホリデー協会(新宿)を訪問。代表者と多くの情報・意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に計画していた調査はすべて行い、質的・量的両方の調査結果において、新たな興味深い点が複数見られる。研究者同士の意見交換も密に行っている。なお、平成24年3月8日にバンクーバーの企友会25周年記念会合にて加藤が行った講演の内容は、企友会オンライン・ニューズレター(以下15を参照)、現地日本語新聞『バンクーバー新報』、およびJapanese Canadian Citizens Association(日系カナダ市民協会)の月刊誌『The Bulletin』4月号に掲載済みである。さらに、同講演に基づき、加藤が英語で加筆修正した論考は、『The Bulletin』6月号にて発表の予定。 また平成23年度の加藤の研究成果は、平成24年6月23日~24日の日本文化人類学会(広島)、7月11日~13日のAsian Studies Association in Australia(オーストラリア・アジア学会、シドニー)での発表が、すでに決定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、(1)加藤による二回の海外フィールドワークを通して、さらなるインタビュー・データの蓄積を行う。カナダのデータ量とのバランスを取るため、特にオーストラリアでのインタビュー・データを増やしたい。(2)久木元による二度目のネット上アンケート調査では、海外経験のない(いわば「内向き志向の」)日本在住の若者にフォーカスし、彼/女らの仕事観、将来観を探る。(3)加藤による、ワーキング・ホリデー帰国者、各国大使館、省庁(外務省、厚生労働省など)、大手の留学・海外滞在斡旋業者らへの国内インタビューを行い、各方面における最新の言説の把握に努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
すべての予算は、二回の海外フィールドワーク、およびネット上アンケート調査において使い切る予定である。
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