本研究の課題は、日本におけるイタリア料理産業が短期間に質・量の側面で発展をとげた要因を明らかにすることである。日本のイタリア料理店が質の高い料理を提供できるのは、コックの多くがイタリアで技術を修得しているためである。日本人によるイタリア料理研修が普及したのは80年代後半以降のことであった。80年代は、イタリア料理が世界的な脚光をあびた時期でもある。イタリアの外国人労働者の受入は次第に規制されていったが、イタリアのレストランにおける日本人の需要は高まった。本研究では、日本人コックのイタリアでの研修制度の確立と変容に焦点をあて、日本のイタリア料理産業における経路依存的な発展の特質を明らかにした。
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