本研究は、バングラデシュの国際労働移動に焦点をあて、受入国におけるバングラデシュ移動労働者の労働実態を明らかにした。また、貧困問題と関連した国際労働移動の背景について分析した。バングラデシュ独立以降の国際労働移動は、湾岸協力会議(GCC)諸国の労働力需要に応じて1976年に開始され、それ以降、GCC諸国への労働移動は急増している。その背景には、受入国の労働力需要のみならず、外貨獲得のために海外送金を増額しようとするバングラデシュ政府の海外雇用政策がある。2006年以降はアラブ首長国連邦への移動労働者数が最多であり、職種をみると、その半数は、低賃金かつ重労働の建設労働者が占めている。
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